随分前になりますが、テレビの生中継の中で、ある木工職人にアナウンサーが「あなたが考える職人の条件とはなんでしょうか」という質問をしたのです。その方は暫く考えると、「同じモノを同じ品質で素早く作ることができる」とおっしゃいました。
シンプルですが、名言だと私は思っています。長くその道で精進を重ねてきた人であるから言える道理が込められていると感じます。この逆はアマチュアの仕事です。時間をかけて良いものができたとしてもプロの職人として評価はされません。時間は即ち技術だからです。いえ、技術の蓄積だからです。
私を含む、家具工房を営む「木工家」と呼ばれるジャンルの方々は、先日書きましたように、一般的には「作家」と認知されています(たぶん)。そして、その場合、彼の制作するものは、もはや商品ではなく、作品であり、そこには個々の解釈が込められていることが大切になってくるわけです。
しかし、木工の場合、そういった作家的仕事への評価の反面、職人的技能への評価が分かち難く付随しているわけです。いくらオリジナリティあふれたモノを作っても稚拙な技術では使用に耐えるはずもなく、やはり、冒頭いったような職人の条件を意識せざるを得ないわけです。
この辺りが、「用」を前提にする職業的クラフトマンの特殊性なのかもしれません。いいえ、このジャンルが存在し続けてきたことを考えれば「特殊」ではなく、取り立てて問題にすることではないのかもしれません。
時間をかけ、折り合いをつけながら最終的にはモノ作りを通して感動を与えたいと思いつつ。