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耐震

2006/03/09

耐震強度問題で揺れている。偽装強度で建てられた住居に入居した方には、ただもう、お気の毒としか言いようがない。

最近は耐震強度の不足している旧基準のビルの補強工事も行われているそうであるが、実は阪神淡路大地震後、高速道路の橋脚の補強工事が行われたのを見て以来、疑問がある。

被災後、コンクリート製の橋脚に鋼鉄を巻いて強度を上げ、根元から折れない対策をしていた。それはそれでいい。
もしも激しい横揺れが来る。高速道に直交する向きに来た地震波の場合は、まあ分かる。では、高速道に沿う向きに来た地震の場合、強度を増した高速道は地面と同じに動く、するとどこかで止まっている部分とぶつかるのではなかろうかと思うのである。
その場合、最悪、桁が盛り上がるのではないか。また引っ張られる側は、地震が来ていない部分から切れて桁が落ちるのではなかろうかと不安になるのである。免震にして地面だけが動くというのであれば納得できるのだが・・。

それをいうなら、地面の中のガス管や水道管は揺れる部分と揺れない部分でどのようにつじつまを取っているんだい?ということになる。謎。

最強の椅子

2006/03/08

椅子の作り手として、使い手として、最強と思う椅子がある。
スラットバックチェアー(注1)である。スラットとは薄板という意味で、背もたれに使われている薄い板を指す。また、ラダーバックチェアーやポスト&ラン(注2)チェアーとも呼ばれている。
シェーカーの椅子といったほうが一般的で分り易いかもしれない。私が制作したスラットバックチェアーも「シェーカーですね」と、言われる。しかし、シェーカーではない。シェーカーのサイドチェアーの原点である。
(注1:現在手持ちの唯一の画像。ページ最下段)
(注2:ラン、又は日本語読みだとラング(?)/ Rung:貫)

この椅子が何故、最強であり、究極と考えるのか、シンプルに見えるこの椅子に隠された驚くべき事実を述べたい。

この椅子はラテン諸国(地中海沿岸諸国)で生まれた。よって、正確にはラテン・スラットバックチェアーという。起源は古く、中世だといわれる。当時の木版画には、この椅子と同じ構造をしたスツールが描かれている。そして、現在までに世界で最も数多く作られた椅子である。

この椅子は生木から作られていた。つまり、西洋で言う所のグリーンウッドワーキングの技術で作られた椅子である。
西洋にはグリーンウッド(生木)ワーキングというジャンルの木工技術がある。生木を用いる理由は、柔らかくて加工しやすいからである。ところが、生木は多量の水分で満たさせている。そのため、乾燥に従って収縮する。通常、一般の家具製作では水分の多い(含水率の高い)木材は使えない。

職人達は木材を伐採し、必要な長さに玉切りする、次に割ることによって全ての材料を木取る。この作業が、将来的にこの椅子に故障を生じさせない重要なポイントの一つになる。つまり、割ることによって得た木材の繊維は切断されずに長いまま部材の長手方向に走っている。これは部材の強靭さを保障し、変形を最小限にとどめることになる。

次に全ての部品は旋盤で丸く削られる。動力のない時代、四角に加工するのは多くの労力が必要である。それに比べ、足踏み式の旋盤を使用し、切り倒したばかりの水分の多い材料を丸くすることは簡単である。薪割りに使う斧を用いても丸くできるのである。これは、英国で足踏み式旋盤を用いて実際に試したことがあるのでよく分かる。

当然、貫(ストレッチャー)も丸である。丸いストレッチャーは丸い脚に挿入される。つまりダボ構造である。しかし、ダボ構造は強度的に弱いという特徴がある。ご承知のように、木材の木口には接着剤はあまり効かない。そして丸穴内部は、その全周のほとんどが木口だからである。

ところが、この椅子には、構造的な弱点を長い時間をかけて解決してきた歴史がある。
脚は大まかな乾燥状態で用いる。ストレッチャーは完全に乾燥させて用いる。組み立てた後、水分の多い脚は引き続き乾燥が進む。乾燥の進行によって脚は収縮し、ストレッチャーを締めていく。これによってストレッチャーは抜けにくくなるのである。
また、前と横のストレッチャーが作る角度の二等分角に直交するように年輪を配置させる。これにより、丸脚の乾燥が進むと、前と横のストレッチャーを均等に締める。丸脚であるがために、年輪を最適な角度で配置する事ができるのである。

さらに、ストレッチャーの柄(ホゾ)部分には全周にわたってV型のノッチが切ってあり、脚は収縮によってこの部分に食い込む。また、柄の側面になる部分は、その一部を削り取って平滑に加工される。この部分はフラッターと呼ばれ、丸脚はこの部分にも食い込み、共に抜け防止として機能する。貫側面にフラッターを配置するのは、木材は縦方向にはほとんど収縮しないからである。このような機能によって柄が抜けるという事故の発生を防ぐ事ができる。生木の弱点を見事に逆手に取った構造には驚愕した。

加えて、ストレッチャーは通常、前、横共に3本づつ入っている。ある日本の木工資料によるとシャーカーの椅子はこの多接構造によって強度を保っていると解説してある。それは正しい。しかし、先に述べた木材の収縮を考慮した構造を抜きにしてはこのタイプの椅子の構造は語れない。

さらに、この椅子は通常、奥行きが浅い。この構造も後足にかかるストレスをできるだけ軽減し、故障を減じる歴史的な結論だと思う。
このような手法によって製作されたこの椅子は、ストレッチャーが緩むというような故障はほとんど発生しない。歴史が培った技術に私は呆然としたものである。

この椅子は、通常座面が小さい。始めて座ると若干窮屈に感じる。しかし、以前このブログで書いたように、慣れてくると違和感はなくなる。座面に少しばかりつけられた角度を持つダイニングチェアーよりもよほど疲れない。この椅子に安楽椅子的な休息を求めないならば何の問題もない。

小振りなために狭いダイニングスペースにも、小さめのテーブルにもフィットする。そして、何より軽いのがいい。主婦でも片手で簡単に持ち上げる事ができるので、掃除の時に実に楽だという。

デザイン的にみて、この椅子は何の加飾も施されていない(注3)。この椅子のキャラクターを決定しているのは、丸い部材、座編みによるシートである。強いて加えるならば、薄板による階段状の背もたれと、曲げ加工によって緩い曲線を描く後足である。
これらの数少ない丸い部材と天然素材によるシートにより、暖かく優しい雰囲気を醸して飽きることがない。
(注3:欧米に残る、グリーンウッドワーカーの作る伝統的なスラットバックチェアーの場合、そのオリジナリティを強く残す。むしろ、シェーカーのサイドチェアーのほうがピリオドスタイルの投影を感じる)

終わりに。
この椅子は日本ではあまり馴染みがない。そして、その構造もまた日本ではほとんど知られていない。先日逝去されたファニチャーデザイナーの佐々木敏光氏も、私の説明に驚嘆された。この技術を応用した椅子は苛酷な環境(過乾燥状態)に置かれるほど強度を増す。そして、Yチェアーやセブンチェアーほど建築家に着目されてはいないが、そこには中世から時代を超えて使われてきた永遠のスタンダード性が確かにある。
この両側面において、誤解を恐れず「最強の椅子」とタイトルをつけたのである。

農家民宿

2006/03/05

過疎化傾向は更に進む。団塊の世代のかなりの割合は、週末滞在型を含め、田舎での生活を望んでいる。政府行政も空家情報の提供を進める。また、過疎地も空家対策に頭が痛い。さらに、グリーンツーリズムという自然豊かな地域でのんびり余暇を過す傾向が強まっている。このような状況では、今後、多くの方が、田舎との関わりを持つ可能性が高いといえるのかもしれない。

そんな状況下で、大分県が行っている農家民宿へのバックアップ制度を知った。グリーン・ツーリズムにともなう民宿への大幅な規制緩和と融資制度である。

以下、「グリーン・ツーリズム、ブルー・ツーリズム情報BOX」内、「農家民宿の規制緩和情報」から引用させて頂きました。

■旅館業法及び食品衛生法の運用を規制緩和
平成14年3月、大分県では利用者の安全・安心を確保しグリーン・ツーリズムを衛生行政の立場から支援するため、独自にグリーン・ツーリズムに伴う農家民宿に対して、「旅館業法」、「食品衛生法」の運用上の規制緩和を盛り込んだ取扱いを定めました。

平成15年4月1日から厚生労働省により旅館業法の規制緩和が行われ、農家民宿の面積要件(簡易宿所は客室延面積33m2以上)が撤廃されました(H15.4より厚生労働省令により農林漁業者が営む農林漁業体験民宿施設は簡易宿所営業の客室延床面積の基準を適用しない)。

グリーン・ツーリズムで、宿泊客が農家と一緒に調理、飲食する体験型であれば客専用の調理場及び営業許可は不要としました(食品衛生法に関しての規制緩和)。

■無利子の融資制度
農家民宿を始めるとき、施設の改造等に資金が必要となる場合がありますが、大分県では県独自の支援策として無利子の融資制度を設けていますのでご活用ください。
・資金名
 農村女性・若者活動支援資金の農家民宿施設整備資金
・貸付対象
 農家民宿の施設整備(客室・台所・入浴設備・洗面設備・便所等の改造費)
・融資条件
 限度額:500万円、利率:無利子、償還期間:10年以内(据置2年)

リタイヤ後、このような融資制度を利用し、田舎で民泊を始めてもよし、趣味の木工や蕎麦打ちを生かしながら客を寄せるも良いと思う。
田舎が好きな方には、様々な可能性のある時代になってきたと思う。他の町村の取り組みは分らないから、興味のある方は各自で調べて欲しい。

故郷にある私の知人の民泊は、地元の野菜料理を提供して来訪者が多いと聞く。友人のやっている「ササク蔵ブ」は、蔵に泊まるようにしてあるのが良い。おかみさん(奥さん)の料理が美味で、酒がいつになく旨く飲めるのは少し困るが、それは料理だけの魅力ではないかも。

さて、我が女房の目論んだ「民泊」はどうなるのか。

工房民宿

2006/03/04

家具工房を始めた当初、九州の阿蘇の外れでは商売は難しいだろうと、工房の一部を改造し、民宿を始めようとした。

工房に使っている建物の屋根の端に排気抜きの小屋根が乗っていたので、そこを屋根裏部屋とした、小さな居住空間に改造した。トイレと流しを付け、水道を引けば母屋から離れた空間は気兼ねなく泊まれていいだろうと思った。便槽は嫁さんが気合を入れて掘った。

上下水道の配管を残した時点で、保険所へ許可申請に出向いた。
厳格な厨房設備基準、トイレの設置基準、非常口、避難路の確保、最低部屋数基準など、民宿の営業には、「旅館業法」、「食品衛生法」、「建築基準法」、「消防法」の許可が必要だった。あまりの厳しさにたちまち意欲が削げた。
無許可でも大丈夫、無料で寄付を頂戴すれば良い、研修用の宿泊施設ということにしておけば良い、等々の意見、アドバイスを受けたが、やめた。
その後、屋根裏は主に酔客(友人)の宿泊場所として、一階は家具の簡易展示場として10年以上使い続ける事になった。

近年、グリーンツーリズムの影響で、農家民宿の規制が大幅に緩和されてきた。田舎の民家に宿泊することが簡単にできるようになってきたのだ。
嫁さんに、失っていた希望と意欲が再び湧いてきた。新たにギャラリーをこさえ、家具を引越し、かつて予定したスペースに泊まってもらう。春先に思い立ち、ゴールデンウィークまでには完成させるという決意をみなぎらした。

工事は、もちろん我々2人で行ったのだが、ゴールデンウィークには間に合わず、5月末に完成した。上下水道設備も備えた。
所が、スタンバイOKとなってから、台湾から息子のガールフレンドが遊びに来た。彼女はリニューアルした宿泊場所におよそ一ヶ月滞在した。
嫁さんの夢は再度挫かれたのである。その後、我々はラオスに行く事になった。

写真

2006/03/01

全てではないが、出来上がった家具は写真に撮る。
作品集(作品か?!)に貼り込むためである。そのときには、「結構良いものできたなあ」などと自画自賛、ためつすがめつ満足げに最適なフレーム位置を探す。

所が、何年かの後に見返すと大したことはない。大したことはないモノが結構多い。
要望を聞き入れたから。予算がなかったから。大事をとったから。等々、言い訳の理由には事欠かない。同時に、「たいしたことのないもの作ってんなぁ」と思う。よく思う(お客さんすいません)。
それでも、オーダーを受けるたびにもっとどうにかならないか、改善はできないか、簡単に作れないかと(誤解を恐れずにいう)、検討はする。結果は同じようなものになる場合も多いのだが、そうする。
女房は、「何度も作っているものでしょう?」と、怪訝な顔で言う。「うーん」と、曖昧な返事を返しながら、「うるさい。色いろ考えてんだよー」と内心思う。結果、大して変わらないものが出来上がるものだから、「何やってんだろーねぇ」と、思われても致し方ない。

自分の中で色褪せないものも、少しはある。才能がないのに努力が足りないのは、わかってはいるつもりだが・・。