一時帰国の折、「タイムドメインmini」(画像)を購入した。タイムドメインについては、以前に、このブログでも若干触れた事がある。
音は時間とともに最初の性質や成分、あるいはその形が変化したり、欠落したりするが、これらを起こさせないように、音源からの音を100%引き出し、ありのままに再現しようとするのがタイムドメイン理論であり、「タイムドメインmini」とは、それを具体化した小型スピーカーである。
風評だけ。試聴もしないままの購入だったが、音は一般的な評価のように、定位がはっきりし、鮮明。不思議なことに遠くにいてもはっきり聞こえるのでボリュームを上げているのかと思ったが、そうではない。そしてボーカルが実にいい。何より、疲れない音を探していた私には最適なスピーカーだった。
また、アンプが内蔵されているのでヘッドフォン端子につなぐと、すぐに聞く事ができるのも手軽でいい。
以前私は、オーディオメーカーに勤めいていたこともあり、スピーカーや真空管式プリアンプを自作した事があった。最近ではオーディオへの興味も失せ、全ての機器を処分して必要なときにはCDラジカセのスイッチをひねる程度だったが、このスピーカーのことを知り、聞いてみたいと思った。
タイムドメイン社の由井社長は、以前長い闘病生活を送った。その時に癒されたのが音楽だった。そして、そのような心を和ませる音作りを始めるが、思う音が出せなかった。そんな中、それまでのオーディオ理論に対する疑問を抱き、発想の転換が既成理論をうち破るタイムドメイン理論として結実した。そして、その理論を具現化するため、睡眠時間を削ってまで膨大なエネルギーを投下したのである。
その後、会社を設立して開発を続けるのだが、研究開発費が続かない。その窮地を救ったのは、彼の理論によって生み出された「音」自身だった。
何の実績や担保もない会社へ、銀行の支店長は試作品の音を聞いて本物であることを確信し、上司を説得して融資につながったという。
彼が多くの協力者にめぐり会えたのも、一途な信念と姿勢のせいである。私も、由井氏の姿勢に共感し、彼の理論を体験したいと思ったのである。モノ作りに携わる者の揺るがない信念と熱意は人の心を打つ。
画像はタイムドメイン社より許可を頂いて使用しました。