家具(正確には木製家具制作)が好きでこの道に入った。
今では老眼も進み、身体もフレキシビリティの低下でイメージどおりの動きができないことが多い。
ラオスから帰った今、この先どの程度仕事ができるのだろうか。とりわけ、納得のいく仕事がどの程度できるかということを思う。
子供の頃から木工作が好きだったから、デザイナーよりも、自分の手で家具を作ることを目指した。しかし、生活もあり、理想とするものだけを作り、提案していくことは難しかった。
歳を取って身体パワーは低下してきているが、子供も育ち身軽になった今、その気になれば工房をスタートさせた頃の希望や目標にもう一度帰ることができる状況になってきている。
思い返せば、家具への ― いやこういった家具を作りたいという様々な熱い思いがあった。それは、マーケットで見られる家具デザインへのアンチテーゼであったり、無垢物への憧憬や、伝統的木工技術の家具への反映の方法であったり、北欧家具への驚嘆であったりした。
街のそちこちで見られる、安価な材料を用い、同じようなくすんだ色とウレタン塗装で仕上げられた没個性的な国産メーカー製家具と、ポピュラーではないが一部の専門店で見られる、あまりに違うモダン家具があり、それは、単に家具デザインだけを見ていたのでは理解できない、真に室内の生活を楽しむという姿勢や様式をベースにしなければ決して生まれてこない製品であった。
(安賃貸、良くて6畳2間に暮らしながら、タタミマットには寝ない人々の家具文化に憧れるという自家撞着を顧みずもせずに・・)
ともあれ、私は生活の場で、素敵な家具を始め、自らが納得したインテリアや台所プロダクトをできる範囲で使っていきたいと思っていた一人であり、室内の壁を白く塗り替え、柱にはボイル油を塗ってコントラストをつけ、イサムノグチのアカリを下げたりということは引越しのたびに行なってはいたのだが・・。
それから20年以上経ち、家具やインテリアに対する認識も多少は違ってはいると思うが、今は、家具に足を踏み入れた頃の思いを把持し、提案していきたいと改めて思う。そうでなければ、この道を選択した意味がないし、全てを白紙に戻してリスタートする(位の)思いでは居るのだが。
(新年に思う)