阿蘇地域では、JR九州が蒸気機関車を走らせていた。最近目にしなかったのだが、老朽化によって傷んだボイラーの修理をしているということをニュースで知った。
蒸気機関車の修理画面を見て思ったのは、その昔、実用化させた時分から一般化した頃まで、ピストンとシリンダーのシーリングはどうなっているのだろうということだった。
蒸気機関車や、映画で有名なタイタニックの蒸気機関は、蒸気でピストンを押す。押されたピストンは逆方向からの蒸気によって元の位置に戻る。つまり、ピストンの往復運動の両方向で蒸気の圧力を用いている。
膨大な重量のある車両を引っ張る動輪を回すためのピストンを押す蒸気圧を得るため、おそらく、ボイラーは圧力鍋状態にしてあり、強大な蒸気圧を発生させているに違いないなと思った。その時にシーリングに関心を持った次第・・・(多少調べたが出て来なかったから、終わりにした)。
所で、タイタニックなどの大型船舶に用いられた蒸気機関だが、ボイラーからの高圧蒸気は最初のシリンダーに送られてピストンを押して排出される。しかし、まだ高圧状態でエネルギーを持っているため、さらに低圧用のシリンダーに送られてピストンを押す。高圧、中圧、低圧の3段階のシリンダーを備える蒸気機関もある。
蒸気は圧力が下がっていくごとに膨張していくためシリンダーの直径は増えていき、直径はおよそ、1.5m(高圧用)~2.5m(低圧用)程度。ストロークは2m程度(実に巨大)。
(ちなみに、タイタニックは4シリンダー3段膨張機関。現在の大型タンカーのジーゼル機関のシリンダー径は、およそ1m前後だと記憶している)
ロンドンにあるサイエンスミュージアムには、巨大な蒸気エンジンが展示してあり圧倒される。これらのシリンダーやエンジンを加工した、当時のマザーマシンも大したものだと思う。やはり、蒸気駆動なのだろう。
余談だが、機関車の動輪にはデファレンシャルギアがない。軌道にはカーブがあるので当然内外輪には回転差が生じる。これをどうやって吸収しているのかということだが、外側の直径が小さく、円錐状になっている列車特有の車輪に、その秘密がある。
また、軌道のレール幅は、カーブの曲率によって若干広く作られている。列車がカーブに差し掛かると遠心力で車輪や車体はレールの外側に移動し、車輪のつば部分で押えられる。カーブ外側の車輪は車輪内側の最も直径が大きい部分でレールで接し、内側の車輪はレールが広がった分だけ外側の、若干直径が小さくなった部分で接する。この円周差によってスムースに曲がるのである。
つまり、あるカーブの軌道は、曲率、通過速度、レールの開き幅、軌道カント(軌道の傾斜角)、カントへのアプローチ(勾配)が厳密に決められている。これによって、スムースにカーブを通過することができる。
(記憶違いによる間違いがあるかもしれません。その場合はご指摘下さい)
鉄道は今となればローテクかもしれないが、、蒸気機関そのものの開発も大変重要な要素であるし、上記の軌道設計を始め、安全を保障する運行管理、保守管理等、輸送システム全体の構築ということを考えると、当時としては大変な事業だったに違いないと思う。
植民地時代のヨーロッパの覇権主義は、時にいまいましい。しかし、彼らが旧植民地に残した鉄道は、基礎技術確立までの苦労など、まるでイメージさえできない、のどかな機関手が、今日も古い蒸気機関車を走らせ、ローテクであろうが何であろうが、ローコストな輸送手段として途上国の庶民の生活を支え続ける。