先の岩手宮城内陸地震によって宮城北部の町、築館市が俄に有名になった。
築館は私が25年前から4年間過ごした町だ。ニュースで話題を提供することもない小さな町だった。マスコミで名前が出てくるのは懐かしいが、事が天災なだけに心が痛む。
築館から車で30分位山手に入ると花山村があった。冬の花山は大袈裟にいえば、当時の我々には秘境(!?)に写った。なにしろ、一面真っ白な本格雪世界を見るのは、ここが始めてだったのだ。
はっきりとは覚えていないが、花山入って暫くすると、民宿を兼ねた山内食堂があった。
深い雪を踏みしめて入ったこの食堂で、熱燗を飲んだ。客もなく、音もなく、外ではひたすら雪が降り、食堂の無口なおばさんは、時折ストーブに薪をくべるのだ。
幾度も無意識のうちに刷り込まれているせいだろうか、こういった情景下では、見事に、理由なく演歌的叙情になってしまう自分がいる。それも、結構楽しいが・・。
その先に、佐藤旅館があった。古い旅館だった。ネットで調べると秘湯 温湯温泉 佐藤旅館となっている。こここを過ぎ、車を置いて20分位歩いた所に湯の倉温泉がある。
電気が来ていなくて、夜はランプ。だから「ランプの宿」として知られていた。川の一部を囲って、そこに温泉を引き入れていた。だから増水すると入れないし、夏場はアブが多くて大変だったが、実に情緒があった。
木工所の親方の奥さんが築館の出身で、親方ともここへ来たことがある。夜遅くまでランプの灯で酒を酌み交わした。今思えば随分世話になったものだ。
(最近は、お客も増え、モラルも低下してあまりよくないという書き込みを見た・・残念)
今回の地震で川がせき止められて水位が上り、遂に建物が浮いて流されているのをニュースで見た。
再開は可能だろうか?。
佐藤旅館や山内食堂は無事だろうか?
この先、訪れることがあるだろうか?
余談だが、山内食堂の隣には、廃校となった花山村立花山小学校温湯分校があった。規模といい雰囲気といい実によくて、家具工房にできたら最高だろうなと思ったものだった。何度も通い、勝手に検討したが止めにした(正式に使用できるかどうかも訊いていないのに!)。
都市部からあまりに遠いと考えたからだ。