近くの高原に石群がある。その石には、古代文字が刻まれているということを以前から聴いていた。そして、石の周りではコンパスが機能しないというのである。
大カルデラ火山である阿蘇山の裾野に位置する高原を登っていくと、不意に石が現れる。不自然にも、そこにだけまとまった大小の石郡がある。
周りは雄大な高原。侵食を受けて大地は波打ち、彼方まで続いている。ただし、石群が認められるのは此処だけである。
この石郡にペトログラフといわれる古代文字が刻まれているという。
ペトログラフとはシュメール文字を意味するということらしい。紀元前3100年頃、メソポタミア(現在のイラク)南部地方に興ったシュメール文明で使われていたという。
この文字が日本各地で発見されていて、それが何故日本で使われたのか、興味は尽きない。
ウェブには多くの解説サイトがあり、さながら雑誌「ムー」の様相を呈している。個人的には実に興味深いのだが、真偽のほどが判らない、関連事項が膨大なため、この件に関してはこれ以上触れない。
ペトログラフを探してみるのだが、風化が進み、文字の確認はできなかった。ただし、無いという事ではなく、容易に確認できないということだ。
コンパスは、想像以上の不思議な動きを見せた。岩に近づけ、ゆっくり岩に沿って廻っていくと、ある所で不意に針が回り始める。場所によっては針は正反対まで回る。
緩やかに回り始める場所、急に回り始める場所など様々で、本来の「北」は一体どこだ。と、思うほどだ。
不思議な空間である。聞こえるものは鳥のさえずりだけ。
穏やかで進みの遅い時間に満ちて、古代の痕跡をとどめる。
ペトログラフといい、不思議なコンパスの動きといい、この地は古代からの不思議なロマンに満ちていた。