水平対向エンジンやⅤ型エンジンは、左右のシリンダーブロックがコンロッド分だけずれている。所が、オートバイのハーレーダビッドソンのⅤ型エンジンのシリンダーは同一線状に配置され、ずれてはいない。随分前からの疑問だった。
ハーレーのエンジンに疑問を抱くなら、ゼロ戦などの星型エンジンはシリンダーが中心軸に向かってラジアル状に配置されている。このエンジンのシリンダーもハーレーと同様、同一平面上に配置され、ずれがないではないか!?。
クランクシャフトとコンロッドの関係はどうなっているのだという、ハーレーの場合よりも激しい疑問が涌いてきた。しかも、今まで、このエンジンに関してまったく疑問を持つことなくそれを眺めてきた自分に大層驚いたのである。
これを知らなくても日常生活に何ら不都合がある訳ではないので、激しい疑問ではあったが、長い間そのままにしていたし、むしろ、調べると無駄(?)な時間を費やす可能性が高い。いや、決定的にそうなのだ。
(余計な前置きはいい)
星型エンジンでは、主コンロッドと呼ばれる大きなコンロッドがピストンとクランクシャフトを繋ぎ、残りの副コンロッドと呼ばれるものが、主コンロッドのビッグエンド側に取り付けられている。
これで、クランクシャフトを回している(若干、ロータリーエンジンに似ている(?))。

動画だと星型エンジンの動きが分かりやすい(下記サイト)。
「ワーバード」から「星型エンジンの構造」:星型エンジンについての詳しい説明がある。
「how stuff works」から「How Radial Engines Work」:非常に綺麗なアニメーション。
主コンロッドを見て新たな疑問が生じた。
主コンロッドのビッグエンドが分割式ではない。分割式でなければ、クランクシャフトにコンロッドを組み込めない。そうすると、クランクシャフトが分割式になっているとしか考えられない。
(自動車と同じようなスプリットタイプもあるがポピュラーではないようだ)
「Aircraft Engine Historical society」という古い航空機エンジンを広く紹介、解説しているサイトに詳しい説明があった(上の2つのイラストもこのサイトからの引用)。
やはり、スプラインによる結合(分割)式クランクである。この方式は第二次大戦中の航空機に非常に多く採用されていた。しかし、この方式では加工誤差や、公差のために若干のガタがあるし、ガタがなくては組み立てられない。また、軍用機では星型ユニットが2段、3段と重ねられてパワーを得ていたため(ゼロ戦は2段重ね(復列))、接合部の数も増えてくる。それが強度に影響しないのであろうかという疑問が浮かぶ。

技術の進歩というものは素晴らしい。
軸方向の接合ではなく、フェイススプライン(Face-splined Crankshaft)という、ボルトとの併用による新たなクランクシャフトの接合方式が、Gleason Works of Rochester, N.Y.によって考案された。しかもギザギザのギア様ではなく、インボリュート曲線によるスプライン接合というもので、これによって強度は飛躍的に向上した。
今日では、一般にこの方法が用いられているという。
所で、私の最初の疑問であるハーレーのエンジンだが・・。
前述の「how stuff works」の「How Radial Engines Work」のアプリケーション事例として・・
「ラジアルエンジン コンセプトの影響による、Harley Davidson motorcycleの2気筒エンジンを未だ見ることができる」と、記述されている。
ハーレーのエンジンデザインが星型エンジンから来ているとは驚いた。ただし、ハーレーのコンロッドは、クランクの一点を2つのピストンが共有しているが、星型エンジンとは違って主と副コンロッドは無い。片方のコンロッドがフォークのように二股状になっている。
参考画像は、アメリカのオークションサイトに出品してあったスペシャルコネクティングロッドアッシー。星型エンジンのコンロッドによく似ている(イラスト:一番上)。
ハーレーの場合、コンロッドの質量が違うが、このバランスはどこで取っているのか?
(新たな疑問が出てくるが、取りあえずここまで・・)
付録:現在でも販売されているエアプレーン用ラジアルエンジンを使用して製作されたモーターサイクル。好奇心を具現化できるアメリカの事例(圧倒的、解釈不用)。
