雲一つない秋日和。
思わず、暗い工房から出て、野外でコーヒーを飲みながらアイデアを錬る。
春に比べると、心なしか陽光には力がないが、それでもコントラストは高く、空気は澄み、戻ってきた様々な野鳥の声が風景に解けている。
雲がなく、圧倒的なハイコンの風景はここの特徴。熱帯地方でも、ぼんやり雲がかかっていて、眩い景色はなかった。
コーヒーを飲みながら、いつもの風景を眺めているのだが、その風景に感嘆してしまい、長いこと思考が止まっていることに慌てる。
暫く前、NHKラジオで、「いのち」をテーマにしたプログラムを、作業の合間に耳にした。
その中の一節・・(大意)。
「我々が、何も感じないですごしている今日という日は、重い病を患う方々が、明日を生きたいと切望して叶わなかった今日なのだ」
うーん。少々重いメッセージ。
仕事は減っているが、幸せなひと時、いや、安逸を貪る私に、そのメッセージが思い出される。
どう生きよう。
秋味はサケの意味だが、山の秋味というか、秋の味覚も春の山菜に劣らず豊富で楽しめる。
今年は、大きなヤマドリタケを見つけた。
傘の直径はおよそ15cm。めったに見つけることはない。勿論この地方では知られていないし、私自身、わざわざ探すこともない。しかし、欧州では最高のキノコの一種だという。
ヒダ面はスポンジ状。茎はサクサクした食感、傘は多少ネットリ感があって美味。
この地域では、キノコは夏の終わり、微かに秋の気配を感じる頃に出る(ようだ)。様々な種類のものが顔を出すが、よくわからないので取ることはない。
東北では、氷が張る位まで、様々なキノコが取れた。それに比べると当地では少ない。
所で、今は山芋、ムカゴの時期。ムカゴ入り納豆モヤシチャンプルーは実に旨い。
先頃、ムカゴを取りに行った際、アケビを見つけた。今まで気がつかなかったが、アケビが群生しているではないか。
アケビの皮の料理が美味いというのを聞いてから、一度食したいと思っていた私は喜んだ。ただし、蔓性で高い所に実を付けているので取るのは大変。
故障が多く、近年特にフレキシビリティに欠ける私は踏み台になり、身軽な連れ合いが木に登る。何十年振り?と言いながら、ムキになっている。
ネットで調理方法を確認して食した。苦労して取ったが、私は、それほど美味いとは思わなかった(適切な調理方法を見つけていないせい?)。
旨ければ、また取りに行く予定だったが、急速に興味が萎えた。
今年の山歩きも、この一度で終了。
年毎に山へ入る回数も減っていく・・。