自転車に子供2人を乗せて走行することが許されることになる。その方針の根底には子育て世代の生活支援という視点がある。それはそれで素晴らしいことなんだが・・。
警察庁の検討委員会(座長:青山学院大学教授 小川武史氏)は9日、ヘルメットの着用を条件に3人乗りを認める方向で最終報告をまとめた。
ただし、3人乗り自転車の構造上、以下の6項目をクリアーしなければならない。
1.十分な車体強度を有する
2.十分な制動性能を有する
3.駐輪時に転倒しない安定性の確保
4.座席が取り付けられる部分が十分な剛性をを有する(ハンドルやキャリア部分等)
5.走行中に振動の発生がないこと
6.発進、走行、停止時の操縦、操作、安定性の確保
(各項目の詳細は省略)
問題は、認可条件を満たすと車体が重くなること、価格が上昇することにある。
日本全国で、子育て中に3人乗り自転車をどれだけの母親が使用するか、つまり、どれだけの販売が見込めるかということであり、場合によっては、価格上昇分を量産によって補えないということになる。
現在メーカーが想定している価格は、6~7万円前後。
かなりの数のお母さん方が、3人乗り自転車を必要としていると思われるが、重くて高い自転車を新たに購入しなければならないことになると、3人乗りを認めた子育て世代の生活支援の考えから乖離することになり残念だ。
警察庁の検討を受け、すでに複数のメーカーが3人乗り自転車を試作し、メディアで画像や映像を見ることができた。
頑丈そうな車体。物々しい子供用シート。正直言って、悪趣味で不細工。
検討委員会がまとめた「幼児2人同乗用自転車に求められる要件」を満たさなければ発売できないから仕方がないといえばそれまで。
現在販売されている「ママチャリ」にも力士が乗ったりするわけで、その場合でも車体が折れてしまうということは通常無い。シートを取り付ける部分の強化は必要だが、子供2人を乗せることを想定した自転車の車体強化が必要なのかと思う。
電動アシスト車を除き、重くなるということは、自転車の最も不安定な漕ぎ出し時の安定性を更に悪化させる。
安定性に関して追加的に述べると、メーカーの試作品の多くは、いわゆる、「ママチャリ」のライディングポジションを踏襲したものばかりである。「ママチャリポジション」とは、、シートが低めでハンドルが高く、背骨が直立する運転姿勢である。この運転姿勢が安定性に欠ける。
前輪に加重が掛かるほうが安定は増し、ペダルを強く踏むことができ、結果的にスタート時の安定を確保できることは実証されていることだが、メーカーの試作品を見る限り、この点の検証がなされていないように思える。
座高計測のような姿勢ではペダルを強く踏めないのだが、その点に疑問を持たないメーカーの姿勢が不思議で仕方がない。子供を2人乗せるというのに・・。
ちなみに、「幼児2人同乗用自転車に求められる用件」の中の「発進時」についての記述は、
①GD(歯数比距離)が4.3m以下であるか、GDを4.3m以下に調整できる変速機を有していること。
②電動アシスト機能を有していること。
の2点しか述べられていない。「クランクひと漕ぎで何メートル以下」の勧告を出すなら、安定を高める乗車姿勢まで踏み込むべきだと思う。
自転車に2人の子供を乗せるような場合は、肘を張ってがっちりハンドルを握り、力強くグイグイとぺダルを踏むようでなければ危険なのだ(ママチャリでも、肘を張ると上体が下がって安定が増す)。
財団法人自転車産業振興協会は、3人乗り自転車に関しても、メーカーへの助成を行っているが、安全安定なライディングポジションへの指導啓蒙にも力を入れるべきだ。
試乗したお母さん方のコメントを読むと、以下の問題が浮き上がっている。
・価格(高くないこと)
・軽さ(重いと漕ぎ出し、スタンドを立てる場合大変)
・身軽さ(3輪の場合は駐輪、狭い歩道を押す場合に不便)
ともあれ、1万前後の格安自転車が氾濫している今、子育て期間中に6、7万前後の高価な専用車を購入する方々がどれだけいるのか・・。
結論として、重くて高価な3人乗り自転車を買わずとも、安くて軽い普通の自転車に子供用シートを取り付け、そこに1人目の子供を乗せ、2人目の子供は、しっかり自分の背中に背負うという方法が、3人乗りの合理的、合法的解決法ではないかと思う。
法律上も問題ない(下記道路交通法 施行規則「ウ」「オ」欄参照)。
転倒時に頭部を保護するアルミフレーム付き背負子などあれば更にいいと思うが・・。
注:この法律が改正されている場合、また、私の解釈が間違っている場合もありえるので、その場合は速やかなご指摘をお願いします。
道路交通法 施行規則
軽車両の乗車又は積載の制限
第100条
法第57条第2項の規定により、軽車両の運転者は、次に掲げる乗車人員の制限をこえて乗車をさせ、運転してはならない。
(1)乗車人員の制限は、次のとおりとする。
(1-ア)二輪の自転車には、運転者以外の者を乗車させないこと。
(1-ウ)16歳以上の運転者が幼児用座席を設けた二輪又は三輪の自転車を運転する場合は、ア及びイの規定にかかわらず、その幼児用座席に6歳未満の者を1人に限り乗車させることができる。
(1-オ)16歳以上の運転者が6歳未満の者1人を子守バンド等で確実に背負つている場合の当該6歳未満の者は、アからウまでの規定の適用については、当該16歳以上の運転者の一部とみなす。
(この記事に関係のない項目(イ、エ)は省いた)
[閑話休題]
硬い話題もいいが(?)、安全とか常識に捉われないことも、時には必要かもしれない。
オレゴンのパルスジェット エンジンデザイナー、ボブ・マドックスの制作したパルスジェット・バイク。
5.6Lの燃料で2分燃焼し、10秒以内に時速約100キロに到達する。
パルスジェットエンジンは非常にシンプルな構造で、第二次大戦中ナチスドイツのV-1ミサイルとして有名。PopularMechanicsより転載させて頂きました。
