子供の私には、どこから涌いてくるのか不思議で仕方がなかった。
綿状の物体が次々と涌いてきて、箸に絡み取られていくのが何とも不思議で長く見ていた。
そして、周囲には甘い香りが立ち込めていた、祭の夜店の「綿菓子屋」。
しかも、それが幾つも並んでいるような、強い綿菓子の匂いが漂っている。
紅葉が進んだ、朝の桂の木の周りは、そんなイメージを抑えきれない、綿菓子の香りの炸裂状況にある。
桂の木の中の、ある物質と水分が反応して「綿菓子」の匂いがするという。
若葉が伸びるときも、ほのかには感じるが、クライマックスは秋の紅葉の時期だ。
この匂いがたまらなく好きで桂の苗を植えた。
裸電球の下の、ビニールに覆われたマシンの前で、オッサンが機械の真ん中にざら目を入れ、箸で絡み取る。ほのかに赤く、色の付いたものもあって、ゆかたを着た子供達が群がる。
我が部落の祭では、公民館の中に簡易綿菓子機を持ち込んで部落の若いのが綿菓子を作る。
今年の春祭りでは、たこ焼コーナーも登場した。
子供達には大人気。
様々な祭のイメージがある。
そして、桂の下に、夏の夜の祭の出店の追憶が、香りと共に浮かび上る。
秋毎に。