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田舎で暮らす

2005年10月16日

今も我が家には、田舎で暮らしたいという希望を持った人々が尋ねてくる。
田舎でモノ作りを目指すヤングもいるが、リタイヤ後、田舎で暮らしたいという中高年の御夫婦のほうが多い。

所が、我が家を訪れた方の中には、「田舎暮らしは良いけど若いうちね。老後は何でも近くで用が足せる都会でなくっちゃネ」とおっしゃる年配の方々もいる。

綺麗に整備された我々の敷地を見て「いいわね」と褒めて頂く場合は多いのだが、年数回の草刈は重労働である。加えて家屋のペンキの塗り直し、家の修繕、突発的に起こるポンプを始めとする故障の修理等々、しなければならない仕事は実に多く、荒れた状態を目の当りにすれば、少しは田舎暮らしは大変だと認識してもらえるかもしれない。
また、部落の付き合いもなかなか大変である。

このような状況で夫婦二人が年をとり、動くのもままになららくなったときのことを考えると実に不安である。「老後は都会」という考え方は理解できる。

では、地元農家はどうなってるのであろうか?。
跡取りがきちんと家業を継ぎ、孫が生まれ、爺婆の老後保障がなされている。このことが代々田舎暮らしを成立させてきた。
ただし、子供が跡を継がず、都会へ出て行ったきり帰ってこない場合は我々と同様である。しかし、我々と決定的に違うのは、彼らは古くから共に農業に従事し助け合ってきた歴史があるため、部落全体でかばうという相互扶助のシステムが、以前よりも相当希薄になっているにせよ、まだ生きている。これは相当なアドバンテージである。
そして、最終的には家族に囲まれて死を迎えるか、病院で死を迎えるかの違いであるが、何れにせよ、本人はそこに生き、そこで人生を終わるということを当たり前のこととして受け入れている。これは幸せなことなんだろうと思う。
田舎に憧れて移住してきた人々のうち、どれだけの方が幸せな諦念のうちに死を迎えられるのであろうか。

ある有名な先生が田舎を希望し、自宅を建てて引っ越してきて久しい。最近は病気で動くことができず、自家用車の運転も出来ない。免許を持たない老いた奥さんが、バスで買い物に行くのを見かける時があるという。実に悲しい。果たして彼らには後悔はないのだろうか。
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