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喧騒の影で

2006年01月28日

我々は、コンペティティションモデルのような軽量、走破性能、パワーを持つモデルがいいと思っていたし、確かにそれを望んでいた。そして、少し前の競技車両のような性能を持つオフロードモデルが市場に溢れるようになった。
長いサスペンションストロークを持ち、熱ダレの無い水冷システムを装備、華々しいが、玩具のようなカバーリングが少し悲しいモデル達である。

そして、その無意味さに気がつき始めたカスタマーの要望に合わせ、クラシックタイプのオフロードモデルが市場に出回り始めた。ところが多くの場合、それらのモデルには、ほとんど何も主張が込められていないという事実を我々は理解することになる。
コンペティティションモデルへの反省点に対しての回答が、そこには何ら提示されてはいなかったし、それを置換する付加価値を見つけられなかったのである。

製品からは、製造に携わる全ての関係者の熱意と意志と自らの感動の度合いが放射されているはずである。熱意がない、理念がない、使うシーンのイメージが身の裡にない全ての製造担当者からは新鮮で魅力のある製品は生まれてはこない。各社の製品は見事に地味で魅力に乏しいものばかりであった。

そんな中、一台のモーターサイクルを再発見した。HONDA SL250S。1972年発売のマルチパーパスである。現代のクラシックタイプのマルチパーパスを凌駕する当時のホンダデザインの意欲とアイデンティティが車体各部から滲み出ている(ただし、いいのは初期型)。

それは性急な流れの中で見失われていたのかもしれない。しかし、ほとんど当時のままの状態で、今だ商品価値は落ちていないと確信できる主張、オリジナリティ、普遍性があることに改めて驚いている。魅力のある製品ができないのは企画の問題ではないことを、この製品が如実に物語っていたが、このまま忘れ去られていくのか・・。
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