個別記事
工房家具屋が行く大塚家具新宿店
2006年05月18日
東京で久し振りに家具店や家具売り場に行った。参考のために、日本の家具カタログをラオスに持って行こうと思っての事である。
どうせ行くなら、日本最大の売り場面積を持つ大塚家具有明店を考えた。しかし、往復に要する時間もあり、広すぎて疲れそうな予感もするので、その日、都合のよかった新宿店に入った。
店内に入るとカウンターに誘導されて何かを記入するシステムになっているようだが、いささか煩わしい。私は、誘導員に単に見るだけで来たのですと申し述べると、取りあえず案内パンフを渡され、店内閲覧(?)を許可された。
客の多さに先ず驚いた。広い商談コーナーの各テーブルでは、若い二人連れから熟年夫婦まで、多くのカスタマーが、見積り、デザインの相談、果てや設計図面を広げて商品選択まで行なっている。従来の家具屋では見たこともない光景である。熱気、活発、繁盛、意欲が伝わる。これが大塚家具の底力かぁ。などと少し唸った。
バブル崩壊期でさえ日本の年間住宅着工件数は百万棟を下らない。テーブルセットなどは、多くの場合新調するだろうから、不景気な時期でさえ凄まじい数の家具が売れているのである。大塚は、そんな多くの需要と客を取り込むことができたのだ。しかも、国内最低価格保障制度をパンフレットには謳っている。安い家具店の価格に合わせるのである。
全9フロアーのうち、テーブルセットを主にしたリビング&ダイニングのフロアーが5フロアーを占める。主な売れ筋である。その中でも、カジュアルと分類されたリビング&ダイニングのフロアーにある商品の安さとデザインレベルには少々驚いた。
とにかく安い。そして、多くの椅子は、単に安いだけではなく、そこそこのまとまりを見せる。デザイナーを抱え、製造はアジアなのだ。
ひと昔前の東南アジア製家具は、ほとんどがラバーウッド製だった。安ければ良かったのだ。その後、甲板(天板)と脚は北米産のオークやチェリーに代わり、目立たない部材にアジア材を用いるようになった。所が、今回見たのは、外観部材のほとんどに北米材を用い、ラバーウッドは見えない部分に使用されているだけだった。そして、デザイン的にもモダンでシンプルである。これは売れると思った。
高い工房家具を買う理由はないではないか。
次に、無垢材を扱う工房家具テイストの製品を多くみかけた。暫く前からこの傾向はあるが、ここでも一定の商品割合として確保されている。需要があるのだ。そして、こちらもこなれたデザインである。
さらに驚いた事に、塗装仕上げされた無垢の広い一枚板もある。材料はトロピカルウッド。価格は8万前後。脚としての木製フレームも用意されている。無塗装でオーダーし、自分でオイル仕上げをすれば落ち着いたものができる。高価な工房製厚め一枚板テーブルを買う必要はないではないか。
家具製造はローテクだから、企業の参入は比較的容易である。単品が大量に売れる時代ではないし、投資を回収するため、アジアのメーカーでも少ロットで製造してくれる。ベトナム、旧サイゴンにある家具メーカーの担当者は、一品でも図面を渡せば作るといった。
元問屋のニトリも大型小売店を始めて久しい。大塚のオリジナル商品も益々増える可能性がある。さらには、小規模なデザイナーズブランドも増加していくに違いない。ビジネスチャンスはインターナショナルファニチャーフェアにブースを借りて掴むのである(すでにそういう方も存在する)。
高級品も扱いながら、品揃え豊富、廉価品も多く、しかし、家具の品質を低く感じさせない店内の雰囲気、それでいて敷居の高くない大塚は多くのカスタマーが入るのだと思う。
(工房家具屋は何処へ ― と頭をよぎるものがあった)
*
余談だが、ジョン・ケリー(注1)のサイドボードなどが2、3点展示してあった。実は、マレーシアにいる頃、彼の家具はマレーシアの工場で作られているという事を知り、訪ねてみたくてかなり探したが、所在がわからなかった。高級品として売られている彼の家具のマレーシア製クオリティと、QCを確認したかったのである。
展示品のサイドボードもフレーム構造だった。そのため、材料が二重になる部分があり、自重も相当なものだった。クォリティはまあまあ(それほど高くはないという印象)、ただし、マレーシア製ということを考えれば良いほうかもしれない。値段もそれなり。彼の製品を見ることができたのは幸運だった。
注1:John N. Kelly:NY在住、建築家、家具デザイナー。フレームを主構造(注2)とした箱物のデザインが特徴であり、チェリーを用いたシンプルな家具デザインは、どこか日本的でもある。
注2:先ずフレームがあり、そこに各パーツを納めていくというような概念を持つ箱物。フレームに各ユニットを入れ込むと言えば理解しやすいか?。工業手法の機能美を伝統手法と融合させ、新たな機能美を得るという試みは理解できる。
どうせ行くなら、日本最大の売り場面積を持つ大塚家具有明店を考えた。しかし、往復に要する時間もあり、広すぎて疲れそうな予感もするので、その日、都合のよかった新宿店に入った。
店内に入るとカウンターに誘導されて何かを記入するシステムになっているようだが、いささか煩わしい。私は、誘導員に単に見るだけで来たのですと申し述べると、取りあえず案内パンフを渡され、店内閲覧(?)を許可された。
客の多さに先ず驚いた。広い商談コーナーの各テーブルでは、若い二人連れから熟年夫婦まで、多くのカスタマーが、見積り、デザインの相談、果てや設計図面を広げて商品選択まで行なっている。従来の家具屋では見たこともない光景である。熱気、活発、繁盛、意欲が伝わる。これが大塚家具の底力かぁ。などと少し唸った。
バブル崩壊期でさえ日本の年間住宅着工件数は百万棟を下らない。テーブルセットなどは、多くの場合新調するだろうから、不景気な時期でさえ凄まじい数の家具が売れているのである。大塚は、そんな多くの需要と客を取り込むことができたのだ。しかも、国内最低価格保障制度をパンフレットには謳っている。安い家具店の価格に合わせるのである。
全9フロアーのうち、テーブルセットを主にしたリビング&ダイニングのフロアーが5フロアーを占める。主な売れ筋である。その中でも、カジュアルと分類されたリビング&ダイニングのフロアーにある商品の安さとデザインレベルには少々驚いた。
とにかく安い。そして、多くの椅子は、単に安いだけではなく、そこそこのまとまりを見せる。デザイナーを抱え、製造はアジアなのだ。
ひと昔前の東南アジア製家具は、ほとんどがラバーウッド製だった。安ければ良かったのだ。その後、甲板(天板)と脚は北米産のオークやチェリーに代わり、目立たない部材にアジア材を用いるようになった。所が、今回見たのは、外観部材のほとんどに北米材を用い、ラバーウッドは見えない部分に使用されているだけだった。そして、デザイン的にもモダンでシンプルである。これは売れると思った。
高い工房家具を買う理由はないではないか。
次に、無垢材を扱う工房家具テイストの製品を多くみかけた。暫く前からこの傾向はあるが、ここでも一定の商品割合として確保されている。需要があるのだ。そして、こちらもこなれたデザインである。
さらに驚いた事に、塗装仕上げされた無垢の広い一枚板もある。材料はトロピカルウッド。価格は8万前後。脚としての木製フレームも用意されている。無塗装でオーダーし、自分でオイル仕上げをすれば落ち着いたものができる。高価な工房製厚め一枚板テーブルを買う必要はないではないか。
家具製造はローテクだから、企業の参入は比較的容易である。単品が大量に売れる時代ではないし、投資を回収するため、アジアのメーカーでも少ロットで製造してくれる。ベトナム、旧サイゴンにある家具メーカーの担当者は、一品でも図面を渡せば作るといった。
元問屋のニトリも大型小売店を始めて久しい。大塚のオリジナル商品も益々増える可能性がある。さらには、小規模なデザイナーズブランドも増加していくに違いない。ビジネスチャンスはインターナショナルファニチャーフェアにブースを借りて掴むのである(すでにそういう方も存在する)。
高級品も扱いながら、品揃え豊富、廉価品も多く、しかし、家具の品質を低く感じさせない店内の雰囲気、それでいて敷居の高くない大塚は多くのカスタマーが入るのだと思う。
(工房家具屋は何処へ ― と頭をよぎるものがあった)
*
余談だが、ジョン・ケリー(注1)のサイドボードなどが2、3点展示してあった。実は、マレーシアにいる頃、彼の家具はマレーシアの工場で作られているという事を知り、訪ねてみたくてかなり探したが、所在がわからなかった。高級品として売られている彼の家具のマレーシア製クオリティと、QCを確認したかったのである。
展示品のサイドボードもフレーム構造だった。そのため、材料が二重になる部分があり、自重も相当なものだった。クォリティはまあまあ(それほど高くはないという印象)、ただし、マレーシア製ということを考えれば良いほうかもしれない。値段もそれなり。彼の製品を見ることができたのは幸運だった。
注1:John N. Kelly:NY在住、建築家、家具デザイナー。フレームを主構造(注2)とした箱物のデザインが特徴であり、チェリーを用いたシンプルな家具デザインは、どこか日本的でもある。
注2:先ずフレームがあり、そこに各パーツを納めていくというような概念を持つ箱物。フレームに各ユニットを入れ込むと言えば理解しやすいか?。工業手法の機能美を伝統手法と融合させ、新たな機能美を得るという試みは理解できる。
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この記事へのコメント
1. Posted by How
2006年05月18日 20:39
しばらく更新されていなかったので心配していました(笑)
自分は福岡で家具工房を始めようとしています。
近所にシャルドネがあるので時々覗いてましたが…
結構ショックを受けます。
作りのしっかりした、シンプルなテーブルが
12〜13万で購入出来るのですから。
材料はチェリーやウォールナットでオイルフィニッシュ。
それでサイズはオーダー出来る。
改めてショックです。
今までは大手企業が作る家具の隙間産業的な形として
僕たちは食べていけたのでしょうが…
こうまで隙間を無くされてはお手上げですね(笑)
消費者が
「高い工房家具を買う必要があるのだろうか?」
と思っても仕方が無いですね。
悲しいですが。
自分は福岡で家具工房を始めようとしています。
近所にシャルドネがあるので時々覗いてましたが…
結構ショックを受けます。
作りのしっかりした、シンプルなテーブルが
12〜13万で購入出来るのですから。
材料はチェリーやウォールナットでオイルフィニッシュ。
それでサイズはオーダー出来る。
改めてショックです。
今までは大手企業が作る家具の隙間産業的な形として
僕たちは食べていけたのでしょうが…
こうまで隙間を無くされてはお手上げですね(笑)
消費者が
「高い工房家具を買う必要があるのだろうか?」
と思っても仕方が無いですね。
悲しいですが。
2. Posted by katsu
2006年05月19日 07:42
コメントありがとうございます。
工房激戦区での参入ですね。健闘を祈ります。
もっとも激戦区ではなくても、理解のある消費者の割合が少ない地域の場合も困りものですので、どこがいいとは一概には言えませんが。
スキマ・・。
ちょっと寂しいですが、せばまっています。どの業界も大変ですから・・。
様々な工房悲哀話が思い出されてきますが、おっと前向き前向き。
量産には乗りにくいとか、我々の特徴を出していく他、ないかと思っています。
工房激戦区での参入ですね。健闘を祈ります。
もっとも激戦区ではなくても、理解のある消費者の割合が少ない地域の場合も困りものですので、どこがいいとは一概には言えませんが。
スキマ・・。
ちょっと寂しいですが、せばまっています。どの業界も大変ですから・・。
様々な工房悲哀話が思い出されてきますが、おっと前向き前向き。
量産には乗りにくいとか、我々の特徴を出していく他、ないかと思っています。
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