個別記事
定員割れ
2007年01月23日
二十数年前に私が赴任した短大では、深刻な定員割れに喘いでいた。
最初は塗装科でスタートしたが学生が集らない。そこで、工業工芸デザイン科に科名変更した。スタッフはそのままで、工業デザインの専門家が一人加わっただけで、名称・内容変更しての再スタートであった。表向きの募集要項のカリキュラムは内容をぼかす分けのわからない記述だったが、内容を簡単に述べると、デザインし、プロトタイプを制作し、塗装するということで、従来から勤務する塗装担当教官の地位保全かつ、学生増加のための小手先的な科名変更だった。
二人目のデザイン専門家としてその短大に赴任した私は、内容のお粗末さに寒気がした。学生への詐欺だと断言できた。意欲を持って入学してきた学生や保護者に申し訳がなかった(名誉のために記すが、勿論、熱意のある教官も少なからずいた)。
定員割れの問題は、科の存続、短大の存続に関わる問題だったので、中央では、労働組合も一緒になって存続のための方策を考え政府と折衝し(つまり自己保存)、現場では、学生のレベルという問題ではなく、定員割れを阻止しなければならないという教官と、レベル確保を優先する教官の対立が続いた。
論文では、誤字脱字の多いものを「不」とするか、誤字よりも内容を評価するかで判定は分かれた。私の記憶にあるのは(当時すでに)、自分の夢が叶わなかったら子供に託すと論文中に記した受験生が多々いたことだった。私は、そのような受験生には人間的な魅力を感じないが、選択となると中々難しいものであり、結果的に定員確保が優先された。
当時から予想されていた、少子化に伴う定員割れと、大学存続の危機が、最近になっていよいよ現実のものとなってきた。そして、ニーズ志向ということで、美容関係の授業を行なう大学が報道されたのは驚いた。大学の専門学校化ではないか。
少子化の反面、教師は溢れていて、大学に残れない先生は、高等専門学校や労働省系の大学に職を求め、それでもなければ専門学校に行く方もいると聞く。大学の専門学校化も悲しいが、当時は意欲のない教員がかなりいたことを覚えている。真に大学全体が問われている時代になったのだと思う。
余談:私の勤務当時、学生確保のためにデザインの適正は重視されなかった。入学者がいなくなるからである(それでも定員の半数だった)。その中の一人の女学生と彼女の卒業後に会った。彼女は、カーナビで有名なAL社のデザイン課に入社することができたのだった。
「大丈夫?デザインできてるの」と、ジョーク気味にいう私に、CADがあるから大丈夫なんですよと、彼女は明るく答えた。そして、田舎で家具工房を開き、家具を作っているという私を不思議そうに見ながら、「私はハイテクをやっていますが、先生はローテクに向かったんですね」といい放ち、私は気弱に微笑んだのだった。
最初は塗装科でスタートしたが学生が集らない。そこで、工業工芸デザイン科に科名変更した。スタッフはそのままで、工業デザインの専門家が一人加わっただけで、名称・内容変更しての再スタートであった。表向きの募集要項のカリキュラムは内容をぼかす分けのわからない記述だったが、内容を簡単に述べると、デザインし、プロトタイプを制作し、塗装するということで、従来から勤務する塗装担当教官の地位保全かつ、学生増加のための小手先的な科名変更だった。
二人目のデザイン専門家としてその短大に赴任した私は、内容のお粗末さに寒気がした。学生への詐欺だと断言できた。意欲を持って入学してきた学生や保護者に申し訳がなかった(名誉のために記すが、勿論、熱意のある教官も少なからずいた)。
定員割れの問題は、科の存続、短大の存続に関わる問題だったので、中央では、労働組合も一緒になって存続のための方策を考え政府と折衝し(つまり自己保存)、現場では、学生のレベルという問題ではなく、定員割れを阻止しなければならないという教官と、レベル確保を優先する教官の対立が続いた。
論文では、誤字脱字の多いものを「不」とするか、誤字よりも内容を評価するかで判定は分かれた。私の記憶にあるのは(当時すでに)、自分の夢が叶わなかったら子供に託すと論文中に記した受験生が多々いたことだった。私は、そのような受験生には人間的な魅力を感じないが、選択となると中々難しいものであり、結果的に定員確保が優先された。
当時から予想されていた、少子化に伴う定員割れと、大学存続の危機が、最近になっていよいよ現実のものとなってきた。そして、ニーズ志向ということで、美容関係の授業を行なう大学が報道されたのは驚いた。大学の専門学校化ではないか。
少子化の反面、教師は溢れていて、大学に残れない先生は、高等専門学校や労働省系の大学に職を求め、それでもなければ専門学校に行く方もいると聞く。大学の専門学校化も悲しいが、当時は意欲のない教員がかなりいたことを覚えている。真に大学全体が問われている時代になったのだと思う。
余談:私の勤務当時、学生確保のためにデザインの適正は重視されなかった。入学者がいなくなるからである(それでも定員の半数だった)。その中の一人の女学生と彼女の卒業後に会った。彼女は、カーナビで有名なAL社のデザイン課に入社することができたのだった。
「大丈夫?デザインできてるの」と、ジョーク気味にいう私に、CADがあるから大丈夫なんですよと、彼女は明るく答えた。そして、田舎で家具工房を開き、家具を作っているという私を不思議そうに見ながら、「私はハイテクをやっていますが、先生はローテクに向かったんですね」といい放ち、私は気弱に微笑んだのだった。
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