家具・インテリア
- 2008年04月06日: 椅子展 '08(コンセプト) (0)
- 2007年10月14日: 家具見本市 2 (0)
- 2007年10月08日: 家具見本市 (0)
- 2006年08月19日: 長椅子 (0)
- 2006年07月19日: ラウンドトップテーブル (0)
- 2006年06月27日: 続スラットバックチェアー (7)
- 2006年05月24日: そういえば、イケア (0)
- 2006年05月22日: 工房家具屋が行く高島屋家具売り場 (3)
- 2006年05月18日: 工房家具屋が行く大塚家具新宿店 (2)
- 2006年03月19日: 椅子制作とCAD (4)
椅子展 '08(コンセプト)
2008年04月06日
今回出展しているほとんどの椅子のデザインは、英国が発祥である「ダブルボウ ウィンザーチェアー」をベースにしています。
ラテンスラットバックチェアー(中世から作られてきたシェーカーの椅子の原型、累計生産台数最多といわれている)や、ウィンザーチェアーは、グリーンウッドワーキング(生木を用いた木工)といわれる、独特のテクニックを用いて作られてきた椅子です。
これらの椅子は、工法的にもデザイン的にも、いえ、それらが分かち難く一体となった構造を持ち、歴史が育んできたスタンダードチェアーといえるものです。
それは、最小の部材で構成されているにも関らず、極めて合理的な構造を持ち、強固なアイデンティティを有しています。
スタンダードな椅子を標榜しながら、椅子制作から遠のいていた私が帰る椅子は、グリーンウッドワーキングのテクニックによって成立した伝統的スタンダードチェアーである、「ウィンザーチェアー」や「スラットバックチェアー」でしかなかったのです―
(会場用の説明から)
補足説明:先日終了した個展(椅子展)の説明から引用しました(今は、自分の実力の無さを改めて自覚しています)。
ラテンスラットバックチェアー(中世から作られてきたシェーカーの椅子の原型、累計生産台数最多といわれている)や、ウィンザーチェアーは、グリーンウッドワーキング(生木を用いた木工)といわれる、独特のテクニックを用いて作られてきた椅子です。
これらの椅子は、工法的にもデザイン的にも、いえ、それらが分かち難く一体となった構造を持ち、歴史が育んできたスタンダードチェアーといえるものです。
それは、最小の部材で構成されているにも関らず、極めて合理的な構造を持ち、強固なアイデンティティを有しています。
スタンダードな椅子を標榜しながら、椅子制作から遠のいていた私が帰る椅子は、グリーンウッドワーキングのテクニックによって成立した伝統的スタンダードチェアーである、「ウィンザーチェアー」や「スラットバックチェアー」でしかなかったのです―
(会場用の説明から)
補足説明:先日終了した個展(椅子展)の説明から引用しました(今は、自分の実力の無さを改めて自覚しています)。
家具見本市 2
2007年10月14日
内容については前回書いたが、外部の訪問客として見本市に対する率直な感想を述べたい。
1.タイトル
10月3、4日はバイヤー向けの見本市である。所で、この見本市の名称がわからない。バイヤー向けのリーフレットの裏表紙の日本語タイトルは「大川家具 秋の見本市」となっている。表紙タイトルでは、同じ大きさで、「International Asian Furniture Exhibition OKAWA」「The Future Furniture in Fukuoka 2007」「OKAWA Furniture-Fall Exhibition」とある。他の文章ではFF展と書いてあるから、2番目のフィーチャーファニチャー展が本来のタイトルなんだろう。しかし、裏表紙の日本語に対応するのは3番目である。外人に紹介する場合、どういえばいいのだろう。シンプルで一言で表現できる名称が必要では。
2.国際家具フェア
バイヤー向けのリーフレットでは、表紙にもインターナショナルが謳われ、見開きの左側が英語表記になっている。ということは、このフェアが外人バイヤーもターゲットにしているという印象である。つまり、輸出を視野に入れていることである。
所が、東南アジアのメーカーとの輸出競争を視野に入れた場合、価格とクォリティのバランスや輸出対象国のイメージが商品から見えてこないと感じた。つまり、価格では負け、デザインや品質で抜き出た特徴がない商品に、どこの国のバイヤーが興味を示すのだろうかと、余計な心配をした。
(後日、このフェアの活性化のために、国際化を進め、外国からのバイヤーと、出展を増やしていく方針だと聞いた)
3.賞の氾濫
多くの家具(あるいは家具ブース?)が、様々な賞を受賞している。賞の氾濫と乱発。この乱発による賞の価値低下を主催者は自覚しないのだろうか?。前近代的な習慣がもたらすモラルの低さの象徴に映るのだが。
4.技術
国際化を視野にいれ、この地域の技術を謳うのは当然だろう。そして、会場には工房家具のような無垢材を用いた家具が多数出品されている。しかし、無垢材の使い方を理解していない商品が多いことに暗然とした。
例えば、木目と平行に入れられた「楔(くさび)」、木材の収縮を無視し、表面から木ネジで止められた座面等々。技術を謳いながら、技術の無さを披瀝している。
5.対応
各ブースの担当者が、「いらっしゃいませ」ということに、驚きを隠せない。これは、小売店舗が集合したという認識からきているのか?。フェアは、新しい試みの提案であり、出展者とバイヤーは対等な関係であるはずである。そこからくる、誇りをもった双方の関係。他の国際フェアはそのような「場」であるが。
フェアの印象を簡単に述べた。家具産地大川が活気を取り戻すことは、我々の願いでもあるが、それは地域の自覚と熱意、自浄作用によるのだろう。
ただし、今は自分自身のインプルーブが先決優先事項。
1.タイトル
10月3、4日はバイヤー向けの見本市である。所で、この見本市の名称がわからない。バイヤー向けのリーフレットの裏表紙の日本語タイトルは「大川家具 秋の見本市」となっている。表紙タイトルでは、同じ大きさで、「International Asian Furniture Exhibition OKAWA」「The Future Furniture in Fukuoka 2007」「OKAWA Furniture-Fall Exhibition」とある。他の文章ではFF展と書いてあるから、2番目のフィーチャーファニチャー展が本来のタイトルなんだろう。しかし、裏表紙の日本語に対応するのは3番目である。外人に紹介する場合、どういえばいいのだろう。シンプルで一言で表現できる名称が必要では。
2.国際家具フェア
バイヤー向けのリーフレットでは、表紙にもインターナショナルが謳われ、見開きの左側が英語表記になっている。ということは、このフェアが外人バイヤーもターゲットにしているという印象である。つまり、輸出を視野に入れていることである。
所が、東南アジアのメーカーとの輸出競争を視野に入れた場合、価格とクォリティのバランスや輸出対象国のイメージが商品から見えてこないと感じた。つまり、価格では負け、デザインや品質で抜き出た特徴がない商品に、どこの国のバイヤーが興味を示すのだろうかと、余計な心配をした。
(後日、このフェアの活性化のために、国際化を進め、外国からのバイヤーと、出展を増やしていく方針だと聞いた)
3.賞の氾濫
多くの家具(あるいは家具ブース?)が、様々な賞を受賞している。賞の氾濫と乱発。この乱発による賞の価値低下を主催者は自覚しないのだろうか?。前近代的な習慣がもたらすモラルの低さの象徴に映るのだが。
4.技術
国際化を視野にいれ、この地域の技術を謳うのは当然だろう。そして、会場には工房家具のような無垢材を用いた家具が多数出品されている。しかし、無垢材の使い方を理解していない商品が多いことに暗然とした。
例えば、木目と平行に入れられた「楔(くさび)」、木材の収縮を無視し、表面から木ネジで止められた座面等々。技術を謳いながら、技術の無さを披瀝している。
5.対応
各ブースの担当者が、「いらっしゃいませ」ということに、驚きを隠せない。これは、小売店舗が集合したという認識からきているのか?。フェアは、新しい試みの提案であり、出展者とバイヤーは対等な関係であるはずである。そこからくる、誇りをもった双方の関係。他の国際フェアはそのような「場」であるが。
フェアの印象を簡単に述べた。家具産地大川が活気を取り戻すことは、我々の願いでもあるが、それは地域の自覚と熱意、自浄作用によるのだろう。
ただし、今は自分自身のインプルーブが先決優先事項。
家具見本市
2007年10月08日
「大川家具 秋の見本市」を見る機会を得た。
率直に言って会場の雰囲気は、あまり熱気を感じなかった。会場の各ブースも、そして置かれている家具達もである。
以前見たマレーシアの国際家具フェアの熱気には比べようも無かったが、日本の地方都市の見本市と比べることが酷なのか?。あるいは、衰退傾向にあるこの産地の状況が投影されているせいか?。
ヒカリものが目立つリビングセットが沢山あったが、魅力を感じるものはあまり無かった。シンプルな家具を揃え、モダンな仕立てのブースは幾つかあった。そんなブースはアベレージかもしれないが、家具屋の奥まった通路のように見えるブースには魅力はなかった。まるで、付き合いで出品しているようだ。
家具に興味のあるカスタマーであれば、このフェアに出向かなくても、近くの大型家具ショップに行けば済むだろう(つまり、フェアとしての提案が少ないのだ)。
家具工房が製作しているものと同じような、無垢材の家具をメインにしたブースが多いことに驚いた(この傾向はかなり以前から出ているが・・)。
メーカーは家具デザイナーを使っているので、デザインもこなれており、価格も工房家具よりも安い。逆に工房家具が、安物産地として知られる(失礼)大川の商品の付加価値を上げる一助になっているのではないかと穿った。
テーブルウェアなどの小物類はセンスもよく、工房製よりもレベルは高いと感じた。
広くて厚い無垢材(耳付き)に脚を付けた、ほとんど工房仕様のテーブルが意外に安い!。「家具工房よりも、このメーカーにオーダーしたほうがいいじゃん」という印象。
メーカーも生き残りに必死だから、無垢材を主体にした家具にトレンドを認めるとラインナップする。家具産地大川も厳しい状況であるし、家具工房が生き残ることも大変である。
率直に言って会場の雰囲気は、あまり熱気を感じなかった。会場の各ブースも、そして置かれている家具達もである。
以前見たマレーシアの国際家具フェアの熱気には比べようも無かったが、日本の地方都市の見本市と比べることが酷なのか?。あるいは、衰退傾向にあるこの産地の状況が投影されているせいか?。
ヒカリものが目立つリビングセットが沢山あったが、魅力を感じるものはあまり無かった。シンプルな家具を揃え、モダンな仕立てのブースは幾つかあった。そんなブースはアベレージかもしれないが、家具屋の奥まった通路のように見えるブースには魅力はなかった。まるで、付き合いで出品しているようだ。
家具に興味のあるカスタマーであれば、このフェアに出向かなくても、近くの大型家具ショップに行けば済むだろう(つまり、フェアとしての提案が少ないのだ)。
家具工房が製作しているものと同じような、無垢材の家具をメインにしたブースが多いことに驚いた(この傾向はかなり以前から出ているが・・)。
メーカーは家具デザイナーを使っているので、デザインもこなれており、価格も工房家具よりも安い。逆に工房家具が、安物産地として知られる(失礼)大川の商品の付加価値を上げる一助になっているのではないかと穿った。
テーブルウェアなどの小物類はセンスもよく、工房製よりもレベルは高いと感じた。
広くて厚い無垢材(耳付き)に脚を付けた、ほとんど工房仕様のテーブルが意外に安い!。「家具工房よりも、このメーカーにオーダーしたほうがいいじゃん」という印象。
メーカーも生き残りに必死だから、無垢材を主体にした家具にトレンドを認めるとラインナップする。家具産地大川も厳しい状況であるし、家具工房が生き残ることも大変である。
長椅子
2006年08月19日
ラオスでは、広い一枚板を用いた家具の価値は高い。高級テーブルの甲板(天板)は、ほとんど一枚板を用いている。ただし、旧宗主国フランスの、猫脚を用いた、ディレクトワールやアンピール様式がほとんどだが。注文をしておかないと耳付きの一枚板は入手できない、しかし、たまたま耳付きの一枚板を製材所で見つけた。古いもので、充分乾燥しているが、中央部には表裏を通して割れのような空洞部がつながっている。
長さ2500mm、幅500mm、厚さは40mm以上あるが、ねじれが30mm以上、反りは10mm以上ある。
一度は諦めかけたのだが、日本でよく見るシンプルなベンチを提案したくて制作を行った。
ねじれを取ると厚みが無くなってしまうので、下面の2本の桟を取り付ける部分だけフラットにした。ただし、その部分はねじれた関係にあるので桟に取り付けた脚にガタが生じる。後で脚の1本を短くして解決することにした。
表面(座面)は、ここの一般的な手法に従い、電動鉋と電動ベルトサンダーで仕上げた。最終的にはスクレーパーを用いた。前述の理由により、反り、ねじれは取ってはいない。
制作のもう一つの目的は、スプレー塗装の方法を教えることである。
ここには着色剤もシーラーも無い。ステインといえば、日本ではログハウス等に用いられているペイント系の外壁用塗料しかない。仕方がないので、着色にはセラックを用いた。
セラックを使うのは何年振りだろう。しかし、ここではセラックは今だ一般的なのだ。トップコートとして艶消しラッカーをかけた。偶然にも古い売れ残りの艶消しラッカーを見つけたのだ。
ねじれや反りや材の悪い部分は大して気にならない。安い旋盤と電動工具があればこの椅子は制作できるので、この地方にも合った構造とデザインだと思う。
当然、木工好きな日本のホビイストにも制作可能である。それほど良くなくても、材料が入手できれば、制作の価値はあると思う。
ラウンドトップテーブル
2006年07月19日
画像は、全国訓練校展のために制作したラウンドトップテーブル。材料はマイドゥーと呼ばれる花梨系の綺麗なものを使用した。ラオスチークと共に、この地域では高級家具材の一つとしてポピュラーな材である。価格も日本円で立米10万円前後と、非常に高価である。
ちなみに、マレーシアと違い、季節によって多少の気温差があるため、木材にははっきりとした年輪が生じている(あまり目立たないものもあるが・・)。
購入した時には、製材したばかりで、まだ湿っていた。日本の常識では使えないが、一週間程度自然乾燥させて使うというこの地域の方法に準じて加工に入ることにした(やはり、地域の方法は尊重しなければならない)。
この地域の材料は、ある程度乾燥させると反りの発生は少ないのである。
地元の習慣とはいえ、含水率はまだ高かったので心配だったが、テーブルということもあり、収縮の悪影響は少ないと考えた。
制作後、展示までの一ヶ月間、一時帰国をした。その間、トタン屋根の強烈な輻射熱下の実習場に置かれていたが、故障は発生していなかった。
ただし、コマ留めのコマは、甲板(テーブルトップ)の収縮に伴い、動き代いっぱいまで移動していた。
甲板の仕上げは、ここの習慣に従って、電動鉋で目違いを取り、次いで、電動ベルトサンダーで仕上げる。
ベトナム人大工はこの方法で実に手の込んだ家具、内装一式を仕上げるのである。
続スラットバックチェアー
2006年06月27日
画像は、以前「最強の椅子」として紹介したサイドチェアーである。落胆、反発の数々は甘んじて受ける。しかし、この椅子は、歴史が作り上げたスタンダードだということは間違いない。長い間にわたり、無名の工人達が、限られた工具で、試行錯誤の上に編み出した工法と構造。この椅子は何も語ろうとはしない、大仰ではなく、いつも謙虚に置かれている。しかし、そこには形を構成している驚嘆すべき工法がある(詳しくは、このブログのカテゴリー「ファニチャー」の中の、「最強の椅子」「スラットバックチェアー」で述べた)。
伝統的なスラットバックチェアーは生木から作られるが、画像のものは、生木から作ったものではない。座面はアメリカ産天然シーグラスを用いてウィービングしたもの。
初めて座ると、窮屈だと感じるのは間違いない。しかし、耐久性を考えた末に決定された奥行きである。伝統的なサイズを大きく変えたくはない。使っている間に慣れ、こういうものだと思ってくる。
そして、この椅子は実に軽い。これは最大のメリットである。
最近は、イタリアの家具が大うけで、その傾向はもうかなり長い間続いている。コンテンポラリーでモダンな雰囲気はイタリアの得意とする所かもしれないし、軽佻な現代日本建築には、うまく適合するように映る。軽佻をそれなりにモダンに見せるには都合がいい。
建築家の一部は、日本の建築の混沌状況が良いのだ、と言ってはばからないから言葉を失う。
そのイタリアの椅子の原点というべきが、実はこのスラットバックチェアーである。中世から存在し、世界で最も数多く作られた椅子である。テンポラリー(temporary)やコンテンポラリー(contemporary)ではなく永遠のスタンダード。
いずれ、「スラットバックチェアー普及プロジェクト」でも立ち上げたら良いかとも思う。無論、自作の薦めである。
そういえば、イケア
2006年05月24日
マレーシアにいる頃、KL近郊のショップで見たのが最後だから3年近く前になる。イケアはインテリア全般に関する商品を取り扱ってたから、日本でのコンペティターは、「無印良品」だと認識していた。
結構広い店舗で、いつも大勢のお客で賑わっていた。インテリアも洒落ていてセンスのいい商品と良く合っていた。
ここで私は、チェストとセンターテーブル、ウィンザータイプのボウバックチェアーを購入したことがある。
どれも全てノックダウン方式で、チェストは見かけは良いデザインだったが、金具を多用し、徹底的にコストダウンを図った作りだった(悪いというつもりはまったくない)。若いカップルが新居用に購入するのに最適な価格、意匠だと思った。
専用金具が多く、それが様々なデザインを低価格で商品化するのに役立っているという印象だった。ちなみにボウバックチェアーは座から上が組立て済みで、脚をネジ、金具を使って組み立てるようになっていた(接着剤は使用しない)。
また、地元の素材を積極的に活用していて、椅子の座面やカーペット(というかゴザのようなもの。これも気に入って購入)として商品化されていた。
そういった家具だったから、一般の家具(店)とは多少セグメントが違い、強いて言えばイノベーターと重なるかなという印象だった。
当時は、「無印」がヨーロッパへ進出し、結構な人気だという記事に触れた事がある。良いものを安くという姿勢、コンセプトでは非常に近いと思うが、商品のデザインレベルは無印よりもイケアのほうが勝っている印象だった。
日本再上陸を果したイケア。どのような戦略と商品を用意しているのか。今の私には知る由もない。
画像は地元のケインを座面に用いたサイドチェアー。全国技術短大展に出品するために制作した。よくあるデザインである。時間がないために作りやすくアレンジした。
これをKDにしたような椅子がイケアには多かったといったら、失礼か。
結構広い店舗で、いつも大勢のお客で賑わっていた。インテリアも洒落ていてセンスのいい商品と良く合っていた。
ここで私は、チェストとセンターテーブル、ウィンザータイプのボウバックチェアーを購入したことがある。
どれも全てノックダウン方式で、チェストは見かけは良いデザインだったが、金具を多用し、徹底的にコストダウンを図った作りだった(悪いというつもりはまったくない)。若いカップルが新居用に購入するのに最適な価格、意匠だと思った。
専用金具が多く、それが様々なデザインを低価格で商品化するのに役立っているという印象だった。ちなみにボウバックチェアーは座から上が組立て済みで、脚をネジ、金具を使って組み立てるようになっていた(接着剤は使用しない)。
また、地元の素材を積極的に活用していて、椅子の座面やカーペット(というかゴザのようなもの。これも気に入って購入)として商品化されていた。そういった家具だったから、一般の家具(店)とは多少セグメントが違い、強いて言えばイノベーターと重なるかなという印象だった。
当時は、「無印」がヨーロッパへ進出し、結構な人気だという記事に触れた事がある。良いものを安くという姿勢、コンセプトでは非常に近いと思うが、商品のデザインレベルは無印よりもイケアのほうが勝っている印象だった。
日本再上陸を果したイケア。どのような戦略と商品を用意しているのか。今の私には知る由もない。
画像は地元のケインを座面に用いたサイドチェアー。全国技術短大展に出品するために制作した。よくあるデザインである。時間がないために作りやすくアレンジした。
これをKDにしたような椅子がイケアには多かったといったら、失礼か。
工房家具屋が行く高島屋家具売り場
2006年05月22日
大塚家具と前後して高島屋も覗いた。久し振りだが、作り手として、家具売り場や展示場に行くのはいい。足を運ぶだけ、新たな情報に出会える。
例えば、日本に再上陸したイケア。チープだがセンスのいい家具、インテリアプロダクトを扱っている。シンプルで品のあるデザインには、デンマークの長いデザインの歴史が伺われる(何事も一朝一夕にはいかない)。
多分現在もそうだと思うが、イケアの家具のほとんどはノックダウン式で、購入して自分で組み立てる。気の利いたセンスは実際に見てみなければわからないものである。
ちなみに、マレーシアでイケア製品を製造している工場の品質管理への取り組みは、他の中国系工場より一ランク上だった。
高島屋では、シンプルなウィンザースタイルのサイドチェアーとテーブルセットが目を引いた。同時に、同じメーカー製で、ソリッド材を主に使用する家具工房スタイルを意識したような製品も展示してあった。デザインもOK。作りも丁寧。そして、価格は実に安い。さらに、仕上げはオイルフィニッシュである。
製造は柏木工。デザインはクラハウスの岩倉榮利氏。こなれている訳である。Takayama Wood Worksというシリーズである。
我々の出る幕がなくなる?(前回書いたので、ここではこれ以上言わない)。
民芸家具も置いてあった。古くからウィンザーチェアーを作っている老舗の製品。明らかなイングリッシュスタイルのウィンザーである。かって英国の職人が技術を伝えたのか。しかし、フロアーの片隅で、多少さえない。ウィンザーを愛する私としては多少寂しい。
ついては、色。塗装。デザインの3点が飽きられているように思える。あの濃い民芸色であるが、素材の違い(座は樺、曲げパーツは楢のようだった)をカバーするには濃色が必要で、特徴としているのは理解できる。しかし、いかにも古い。次にウレタン、もしくはUV塗装が厚くへヴィーでナチュラルな感じが乏しいのは時勢に逆行。さらに、伝統的なスタイルは非常に大切だが、多少モダンにアレンジしたシリーズも在っていいと思えた。古くから良い技術を持つメーカーだけにこのままでは勿体ない。
余談だが、以前みたこの会社のアームボウはフィンガーで繋いだもので、曲げではなく落胆したものだが、これは曲げたものだった。もしかして売れ残り!?(失礼)。
何れにせよ、このようなトピックは他人ごとではない。
私が出向いたのは某高島屋だったが、大塚のほうが生き生きとしていた。百貨店も苦労している。ジェネラルが見放され、スペシャルが評価される?。これも時代のトレンドか。巷ではスペシャリストと目される、工房家具屋の目指すところは何か?。
しかし、もがきながらも納得してもらえるスペシャルな家具を作り続ける家具工房に今後も期待してくださいますよう。
(何だか工房家具屋協同組合の年頭挨拶のようになってしまいましたが、そんな団体は存在しません)
例えば、日本に再上陸したイケア。チープだがセンスのいい家具、インテリアプロダクトを扱っている。シンプルで品のあるデザインには、デンマークの長いデザインの歴史が伺われる(何事も一朝一夕にはいかない)。
多分現在もそうだと思うが、イケアの家具のほとんどはノックダウン式で、購入して自分で組み立てる。気の利いたセンスは実際に見てみなければわからないものである。
ちなみに、マレーシアでイケア製品を製造している工場の品質管理への取り組みは、他の中国系工場より一ランク上だった。
高島屋では、シンプルなウィンザースタイルのサイドチェアーとテーブルセットが目を引いた。同時に、同じメーカー製で、ソリッド材を主に使用する家具工房スタイルを意識したような製品も展示してあった。デザインもOK。作りも丁寧。そして、価格は実に安い。さらに、仕上げはオイルフィニッシュである。
製造は柏木工。デザインはクラハウスの岩倉榮利氏。こなれている訳である。Takayama Wood Worksというシリーズである。
我々の出る幕がなくなる?(前回書いたので、ここではこれ以上言わない)。
民芸家具も置いてあった。古くからウィンザーチェアーを作っている老舗の製品。明らかなイングリッシュスタイルのウィンザーである。かって英国の職人が技術を伝えたのか。しかし、フロアーの片隅で、多少さえない。ウィンザーを愛する私としては多少寂しい。
ついては、色。塗装。デザインの3点が飽きられているように思える。あの濃い民芸色であるが、素材の違い(座は樺、曲げパーツは楢のようだった)をカバーするには濃色が必要で、特徴としているのは理解できる。しかし、いかにも古い。次にウレタン、もしくはUV塗装が厚くへヴィーでナチュラルな感じが乏しいのは時勢に逆行。さらに、伝統的なスタイルは非常に大切だが、多少モダンにアレンジしたシリーズも在っていいと思えた。古くから良い技術を持つメーカーだけにこのままでは勿体ない。
余談だが、以前みたこの会社のアームボウはフィンガーで繋いだもので、曲げではなく落胆したものだが、これは曲げたものだった。もしかして売れ残り!?(失礼)。
何れにせよ、このようなトピックは他人ごとではない。
私が出向いたのは某高島屋だったが、大塚のほうが生き生きとしていた。百貨店も苦労している。ジェネラルが見放され、スペシャルが評価される?。これも時代のトレンドか。巷ではスペシャリストと目される、工房家具屋の目指すところは何か?。
しかし、もがきながらも納得してもらえるスペシャルな家具を作り続ける家具工房に今後も期待してくださいますよう。
(何だか工房家具屋協同組合の年頭挨拶のようになってしまいましたが、そんな団体は存在しません)
工房家具屋が行く大塚家具新宿店
2006年05月18日
東京で久し振りに家具店や家具売り場に行った。参考のために、日本の家具カタログをラオスに持って行こうと思っての事である。
どうせ行くなら、日本最大の売り場面積を持つ大塚家具有明店を考えた。しかし、往復に要する時間もあり、広すぎて疲れそうな予感もするので、その日、都合のよかった新宿店に入った。
店内に入るとカウンターに誘導されて何かを記入するシステムになっているようだが、いささか煩わしい。私は、誘導員に単に見るだけで来たのですと申し述べると、取りあえず案内パンフを渡され、店内閲覧(?)を許可された。
客の多さに先ず驚いた。広い商談コーナーの各テーブルでは、若い二人連れから熟年夫婦まで、多くのカスタマーが、見積り、デザインの相談、果てや設計図面を広げて商品選択まで行なっている。従来の家具屋では見たこともない光景である。熱気、活発、繁盛、意欲が伝わる。これが大塚家具の底力かぁ。などと少し唸った。
バブル崩壊期でさえ日本の年間住宅着工件数は百万棟を下らない。テーブルセットなどは、多くの場合新調するだろうから、不景気な時期でさえ凄まじい数の家具が売れているのである。大塚は、そんな多くの需要と客を取り込むことができたのだ。しかも、国内最低価格保障制度をパンフレットには謳っている。安い家具店の価格に合わせるのである。
全9フロアーのうち、テーブルセットを主にしたリビング&ダイニングのフロアーが5フロアーを占める。主な売れ筋である。その中でも、カジュアルと分類されたリビング&ダイニングのフロアーにある商品の安さとデザインレベルには少々驚いた。
とにかく安い。そして、多くの椅子は、単に安いだけではなく、そこそこのまとまりを見せる。デザイナーを抱え、製造はアジアなのだ。
ひと昔前の東南アジア製家具は、ほとんどがラバーウッド製だった。安ければ良かったのだ。その後、甲板(天板)と脚は北米産のオークやチェリーに代わり、目立たない部材にアジア材を用いるようになった。所が、今回見たのは、外観部材のほとんどに北米材を用い、ラバーウッドは見えない部分に使用されているだけだった。そして、デザイン的にもモダンでシンプルである。これは売れると思った。
高い工房家具を買う理由はないではないか。
次に、無垢材を扱う工房家具テイストの製品を多くみかけた。暫く前からこの傾向はあるが、ここでも一定の商品割合として確保されている。需要があるのだ。そして、こちらもこなれたデザインである。
さらに驚いた事に、塗装仕上げされた無垢の広い一枚板もある。材料はトロピカルウッド。価格は8万前後。脚としての木製フレームも用意されている。無塗装でオーダーし、自分でオイル仕上げをすれば落ち着いたものができる。高価な工房製厚め一枚板テーブルを買う必要はないではないか。
家具製造はローテクだから、企業の参入は比較的容易である。単品が大量に売れる時代ではないし、投資を回収するため、アジアのメーカーでも少ロットで製造してくれる。ベトナム、旧サイゴンにある家具メーカーの担当者は、一品でも図面を渡せば作るといった。
元問屋のニトリも大型小売店を始めて久しい。大塚のオリジナル商品も益々増える可能性がある。さらには、小規模なデザイナーズブランドも増加していくに違いない。ビジネスチャンスはインターナショナルファニチャーフェアにブースを借りて掴むのである(すでにそういう方も存在する)。
高級品も扱いながら、品揃え豊富、廉価品も多く、しかし、家具の品質を低く感じさせない店内の雰囲気、それでいて敷居の高くない大塚は多くのカスタマーが入るのだと思う。
(工房家具屋は何処へ ― と頭をよぎるものがあった)
*
余談だが、ジョン・ケリー(注1)のサイドボードなどが2、3点展示してあった。実は、マレーシアにいる頃、彼の家具はマレーシアの工場で作られているという事を知り、訪ねてみたくてかなり探したが、所在がわからなかった。高級品として売られている彼の家具のマレーシア製クオリティと、QCを確認したかったのである。
展示品のサイドボードもフレーム構造だった。そのため、材料が二重になる部分があり、自重も相当なものだった。クォリティはまあまあ(それほど高くはないという印象)、ただし、マレーシア製ということを考えれば良いほうかもしれない。値段もそれなり。彼の製品を見ることができたのは幸運だった。
注1:John N. Kelly:NY在住、建築家、家具デザイナー。フレームを主構造(注2)とした箱物のデザインが特徴であり、チェリーを用いたシンプルな家具デザインは、どこか日本的でもある。
注2:先ずフレームがあり、そこに各パーツを納めていくというような概念を持つ箱物。フレームに各ユニットを入れ込むと言えば理解しやすいか?。工業手法の機能美を伝統手法と融合させ、新たな機能美を得るという試みは理解できる。
どうせ行くなら、日本最大の売り場面積を持つ大塚家具有明店を考えた。しかし、往復に要する時間もあり、広すぎて疲れそうな予感もするので、その日、都合のよかった新宿店に入った。
店内に入るとカウンターに誘導されて何かを記入するシステムになっているようだが、いささか煩わしい。私は、誘導員に単に見るだけで来たのですと申し述べると、取りあえず案内パンフを渡され、店内閲覧(?)を許可された。
客の多さに先ず驚いた。広い商談コーナーの各テーブルでは、若い二人連れから熟年夫婦まで、多くのカスタマーが、見積り、デザインの相談、果てや設計図面を広げて商品選択まで行なっている。従来の家具屋では見たこともない光景である。熱気、活発、繁盛、意欲が伝わる。これが大塚家具の底力かぁ。などと少し唸った。
バブル崩壊期でさえ日本の年間住宅着工件数は百万棟を下らない。テーブルセットなどは、多くの場合新調するだろうから、不景気な時期でさえ凄まじい数の家具が売れているのである。大塚は、そんな多くの需要と客を取り込むことができたのだ。しかも、国内最低価格保障制度をパンフレットには謳っている。安い家具店の価格に合わせるのである。
全9フロアーのうち、テーブルセットを主にしたリビング&ダイニングのフロアーが5フロアーを占める。主な売れ筋である。その中でも、カジュアルと分類されたリビング&ダイニングのフロアーにある商品の安さとデザインレベルには少々驚いた。
とにかく安い。そして、多くの椅子は、単に安いだけではなく、そこそこのまとまりを見せる。デザイナーを抱え、製造はアジアなのだ。
ひと昔前の東南アジア製家具は、ほとんどがラバーウッド製だった。安ければ良かったのだ。その後、甲板(天板)と脚は北米産のオークやチェリーに代わり、目立たない部材にアジア材を用いるようになった。所が、今回見たのは、外観部材のほとんどに北米材を用い、ラバーウッドは見えない部分に使用されているだけだった。そして、デザイン的にもモダンでシンプルである。これは売れると思った。
高い工房家具を買う理由はないではないか。
次に、無垢材を扱う工房家具テイストの製品を多くみかけた。暫く前からこの傾向はあるが、ここでも一定の商品割合として確保されている。需要があるのだ。そして、こちらもこなれたデザインである。
さらに驚いた事に、塗装仕上げされた無垢の広い一枚板もある。材料はトロピカルウッド。価格は8万前後。脚としての木製フレームも用意されている。無塗装でオーダーし、自分でオイル仕上げをすれば落ち着いたものができる。高価な工房製厚め一枚板テーブルを買う必要はないではないか。
家具製造はローテクだから、企業の参入は比較的容易である。単品が大量に売れる時代ではないし、投資を回収するため、アジアのメーカーでも少ロットで製造してくれる。ベトナム、旧サイゴンにある家具メーカーの担当者は、一品でも図面を渡せば作るといった。
元問屋のニトリも大型小売店を始めて久しい。大塚のオリジナル商品も益々増える可能性がある。さらには、小規模なデザイナーズブランドも増加していくに違いない。ビジネスチャンスはインターナショナルファニチャーフェアにブースを借りて掴むのである(すでにそういう方も存在する)。
高級品も扱いながら、品揃え豊富、廉価品も多く、しかし、家具の品質を低く感じさせない店内の雰囲気、それでいて敷居の高くない大塚は多くのカスタマーが入るのだと思う。
(工房家具屋は何処へ ― と頭をよぎるものがあった)
*
余談だが、ジョン・ケリー(注1)のサイドボードなどが2、3点展示してあった。実は、マレーシアにいる頃、彼の家具はマレーシアの工場で作られているという事を知り、訪ねてみたくてかなり探したが、所在がわからなかった。高級品として売られている彼の家具のマレーシア製クオリティと、QCを確認したかったのである。
展示品のサイドボードもフレーム構造だった。そのため、材料が二重になる部分があり、自重も相当なものだった。クォリティはまあまあ(それほど高くはないという印象)、ただし、マレーシア製ということを考えれば良いほうかもしれない。値段もそれなり。彼の製品を見ることができたのは幸運だった。
注1:John N. Kelly:NY在住、建築家、家具デザイナー。フレームを主構造(注2)とした箱物のデザインが特徴であり、チェリーを用いたシンプルな家具デザインは、どこか日本的でもある。
注2:先ずフレームがあり、そこに各パーツを納めていくというような概念を持つ箱物。フレームに各ユニットを入れ込むと言えば理解しやすいか?。工業手法の機能美を伝統手法と融合させ、新たな機能美を得るという試みは理解できる。
椅子制作とCAD
2006年03月19日
椅子制作にCADは外せない。どれだけの方が椅子制作にCADを利用しているか、定かではないが、現在私は、CADを使わない椅子設計は考えられないという状況にある。
最大の理由は角度がきちんと導き出せるということである。最終的に、制作に必要な部分の角度をプリントアウトすれば、絶対に正確ではないなと思いつつ使う、あの忌々しい分度器とおさらばできるし、分度器の不正確さを嫌い、タンジェントを用いてグラフペーパー(セクションペーパー)上で角度を求める場合でも、手持ちの定規とグラフの目盛りのズレからくるストレスからも開放できる。
実際には加工誤差があり、細かいことを言い過ぎても意味はないのはよく分かってはいるつもりだが、気分がよくないまま行う作業はできるだけ避けたいものである。
座面が台形のサイドチェアーの側幕板の柄は、通常斜めに加工される。この場合の寸法出しは結構面倒で、正確にいっているのかどうか不安がつきまとう。昔は職人の常に従いベニヤ板に原寸を引いていたのだが、気分が宜しくないので、グラフペーパーに2倍図を描いて確認したり、遂にはN88ベーシックでプログラムを組み、柄部分の正確な寸法を取り出せるようにした。
そして、参考のためにベニヤに描く原寸図との比較をしたことがあったが、ベニヤの精度でも制作には充分である事は確認できた。
CADを使えば、そのような精神的に宜しくない問題と無縁になれるのがいい。そして、慣れた椅子であれば原寸図を引かなくてもCADだけで検討と想像は可能であり、イメージとそう違いのないものができる。
問題点は、シビアに寸法が出るため、一致しなければいけない数値が微妙に違う場合があり、これが精神的に良くない。スナップポイントを拾う場合のズレか、四捨五入で数値がずれるのかは分からないが、気にし始めるとあまりよくない。
また、きちんと図学を学んでおかないと、甚だしい誤解に気が付かないまま作図を行ってしまう恐れがある。
ちなみに私は、マレーシアにいるとき、テキスト作成に必要になってCADを使い始めた。自分に合った使い勝手のいいものを探し出すのにかなり時間がかかったが、フリーソフトで感覚的に描けていけるものに巡り合い、現在もラオスでテキスト作成や椅子設計に使っている。
AUTOCADや、当時有名だったJW−CADは感覚的に使い勝手が合わずに諦めた。
全国職業訓練校家具制作コースでも、CADのレッスンを始めたほうがいいと思う(勿論行っている学校は多いと思うが・・)。最初は概念を理解するのに多少手間取るからである。
最大の理由は角度がきちんと導き出せるということである。最終的に、制作に必要な部分の角度をプリントアウトすれば、絶対に正確ではないなと思いつつ使う、あの忌々しい分度器とおさらばできるし、分度器の不正確さを嫌い、タンジェントを用いてグラフペーパー(セクションペーパー)上で角度を求める場合でも、手持ちの定規とグラフの目盛りのズレからくるストレスからも開放できる。
実際には加工誤差があり、細かいことを言い過ぎても意味はないのはよく分かってはいるつもりだが、気分がよくないまま行う作業はできるだけ避けたいものである。
座面が台形のサイドチェアーの側幕板の柄は、通常斜めに加工される。この場合の寸法出しは結構面倒で、正確にいっているのかどうか不安がつきまとう。昔は職人の常に従いベニヤ板に原寸を引いていたのだが、気分が宜しくないので、グラフペーパーに2倍図を描いて確認したり、遂にはN88ベーシックでプログラムを組み、柄部分の正確な寸法を取り出せるようにした。
そして、参考のためにベニヤに描く原寸図との比較をしたことがあったが、ベニヤの精度でも制作には充分である事は確認できた。
CADを使えば、そのような精神的に宜しくない問題と無縁になれるのがいい。そして、慣れた椅子であれば原寸図を引かなくてもCADだけで検討と想像は可能であり、イメージとそう違いのないものができる。
問題点は、シビアに寸法が出るため、一致しなければいけない数値が微妙に違う場合があり、これが精神的に良くない。スナップポイントを拾う場合のズレか、四捨五入で数値がずれるのかは分からないが、気にし始めるとあまりよくない。
また、きちんと図学を学んでおかないと、甚だしい誤解に気が付かないまま作図を行ってしまう恐れがある。
ちなみに私は、マレーシアにいるとき、テキスト作成に必要になってCADを使い始めた。自分に合った使い勝手のいいものを探し出すのにかなり時間がかかったが、フリーソフトで感覚的に描けていけるものに巡り合い、現在もラオスでテキスト作成や椅子設計に使っている。
AUTOCADや、当時有名だったJW−CADは感覚的に使い勝手が合わずに諦めた。
全国職業訓練校家具制作コースでも、CADのレッスンを始めたほうがいいと思う(勿論行っている学校は多いと思うが・・)。最初は概念を理解するのに多少手間取るからである。