Articles(Comments) / Total amount of posts:456
オートモビール
マツダの次世代車両技術が注目されている。
「SKYACTIV(スカイアクティブ)」という。
この技術を採用した初の車両である「デミオ」が2011/6/30発売された。
承知のように、新エンジンを搭載したデミオは、ハイブリッドシステムを搭載せず、10-15モード燃費30km/Lを実現した。
これは、ホンダの「フィットハイブリッド」と同値である。
「SKYACTIV」は、次の要素技術からなる。
(1)世界一の高圧縮比14.0を実現した、次世代高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」。
(2)世界一の低圧縮比14.0を実現した、次世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」。
(3)次世代高効率自動変速機「SKYACTIV-Drive」
(4)軽快なシフトフィールと大幅な軽量・小型化を実現した、次世代手動変速機「SKYACTIV-MT」。
(5)高い剛性と、最高レベルの衝突安全性を実現した、次世代軽量高剛性ボディ「SKYACTIV-Body」。
(6)正確なハンドリングと快適な乗り心地を高次元でバランスさせた、次世代高性能軽量シャシー「SKYACTIV-Chassis」。
「SKYACTIV-G」は、効率を徹底的に高めたガソリンエンジン。
効率を阻害するエンジンの主な損失は、以下の4項目。
■排気損失
まだ利用できる熱量を排気ガスとして捨ててしまう。
■冷却損失
燃焼ガスが、シリンダー壁面などによって冷却され、エネルギーを失う。
■機械抵抗損失
エンジン内部の摩擦による損失。
■ポンプ損失
空気の吸入や排気の抵抗による損失。
「SKYACTIV-G」は、これらの損失を出来るだけ小かくして効率を高め、燃費とパワーを高めようというものである。
以下は、マツダの具体的な対策。
■驚異の高圧縮比14
排気損失の低減には、圧縮比を上げるのが有効な手段である。
混合気に点火後、燃焼ガスは膨張し、ピストンを押し下げる
ピストンを押し下げると、燃焼室の圧力が下る。同時に温度も下がる。
圧縮比を上げると、燃焼ガスがより低圧・低温になるまでピストンを押す。それだけ取り出せるエネルギーは大きくなる。
つまり、捨てるエネルギー(排気損失)が少なくなる。
よって、同じ量の燃料から、より大きなパワーを出せる。
パワーを同じにすれば、燃料は少なくて済む。
(従来のエンジンでは、圧縮比10~12程度が普通)
しかし、高圧縮比にした場合、ノッキング(ガソリンの異常燃焼)によりトルクが落ちる。
ノッキングの発生メカニズムは、圧縮時の温度上昇である。
温度上昇の原因は、シリンダー内に残っている残留ガス。
解決策としては、できるだけ残留ガスを追い出すこと。
残留ガスを効果的に除く手段として採用したのが、昔からのレーシングエンジンに採用されてきた「タコ足」と呼ばれる、4-2-1タイプの長いエギゾーストシステムだった。
これにより、シリンダー内に残留ガスは、8%から4%に半減した。残留ガスが減れば、シリンダー内の温度が下がる。
結果として、圧縮比を従来より3ほど高くすることができた。
圧縮比が3高くなると、燃費は8~9%向上する。
しかも、排気ガスの吸い出し効果を高めたことで吸気効率が上がり、実用域でのトルクが向上した。
燃焼時間の短縮も効果的で、そのためにシリンダー内の空気流動を強化し、マルチホールインジェクターによる噴霧特性改善や、噴射圧力の強化によって、均一で流動が強い混合気を生成。
また、ガソリン直噴による吸気冷却効果を促進するために、噴霧パターンを改良。ピストンを耐ノック性が高い形状に変更している。
■冷却損失対策
冷却損失については、ピストン上面のキャビティにより、着火初期の火炎がピストンに接触して冷えることを防ぎ、損失を減少させている。
またシリンダーのボア(口径)を現行2Lエンジンの87.5mmから83.5mmに縮小。これによって燃焼ガスと接触する燃焼室壁面の面積が減り、温度低下を防いで熱効率を高めている。
■機械抵抗損失対策
機械抵抗損失面では、往復回転系パーツを軽量化して摩擦を低減すると共に、エンジンのレスポンスを高めた。具体的にはピストンとピストンピンを20%、コンロッドを15%軽量化。
ピストンリング張力37%低減、クランクシャフトメインジャーナルの径を6%、幅を8%低減。バルブ駆動にローラーフィンガーフォロワー採用で、動弁系摩擦力を50%低減。
トータルで従来型エンジンに比べ、機械抵抗損失を約20%低減している。
■オイル潤滑系の損失対策
オイルの潤滑システム自体も見直され、オイルの通路を短く、出入り口の形状も工夫することによりオイルを圧送する際の抵抗を3割近く低減させている。
これによって、オイルポンプの容量を、約1割小さくできただけでなく、負荷やエンジン回転数に応じて吐出圧を2段階に制御する可変機構を搭載し(電子制御式可変油圧小型オイルポンプ採用)、駆動損失の削減に成功している。
■ポンプ損失対策
ポンピングロスを減らすため、電動の連続可変バルブタイミング機構を吸気側に採用し、ミラーサイクルを採用。
ミラーサイクルとは、ピストンが下死点を過ぎて吸気バルブが閉じるという、遅閉じという方法によってシリンダーの容積以下の混合気(直噴の場合は空気)しか吸い込まず、燃焼後は容積一杯(下死点)まで膨張させることから燃料のもつエネルギーをより無駄なく取り出す方法。
低負荷時にはミラーサイクル状態で作動させるため、圧縮比は14を下回るが、高負荷時にはバルブを早く閉じ、ミラーサイクルを抜けることで14の高圧縮を実現している。
高圧縮エンジンだからこそミラーサイクルが効果的となる。
■その他
1.アイドリングストップ機構「i-stop」の搭載。
2.低ころがり摩擦タイヤの採用。
3.減速時に発電させ、エネルギー回生を行なう充電制御といった補機類による効率化。
4.スパークプラグも従来より細いサイズを採用することで、ヘッド回りの冷却性を確保しやすいものとする。
5.空気抵抗の低減。
デミオ13-SKYACTIVのCd値は0.29。この値は、コンパクトカーとしては、実に秀逸。
空力に関しての開発者の興味深いコメント。
空力は燃費のためじゃなく、“伸び感”の向上を狙った、という。
高速道路を利用して、インターチェンジから本線に合流する時のことをイメージしてほしい。加速車線でアクセルを踏んで加速していくと、最初は強い加速感が感じられるが徐々に弱まり、実際の車速の上昇も鈍ってくる。これは速度が上昇するほどに空気抵抗が増していくのも大きな原因。
「パワーのあるクルマなら強引に加速していくこともできるが、燃費性能も重視したコンパクトカーでは難しい。でも加速の伸び感は、クルマを運転している中で非常に気持ちのいい感覚なんですね。それを実現すべく空力を追求したんです」
アンダーフロアを樹脂製のパネルで覆ってフラットボトム化を図り、タイヤの前にはディフレクター(ストレーキ)と呼ぶ整流板、リヤゲートにはスポイラーも装備。
高級なドイツ車ではなく、100万円台前半の国産コンパクトでの話である。
6.非ハイブリッドの意味。
デミオの10-15モード燃費(30km/L)は、ホンダの「フィットハイブリッド」と同値である。
しかし、内容において決定的な違いがある。
フィットハイブリッドは、バッテリーやモーターの重量でデミオより100Kg程度重い。
これが加速、運動性能に、どれだけネガティブな影響を与えるか、ここで述べるまでもないだろう。
また、高価なバッテリーは、車両価格に跳ね返る。マツダがハイブリッドではなく、従来技術にこだわった理由の1つが理解できよう。
7.高圧縮比エンジンの意味。
エコ運転が奨励されている。
加速ポンプを作動させないよう、アクセルペダルを、そーっと踏み込む。
せいぜい、踏みしろの1/4程度だろう。
デミオは、その必要がない。
加速が必要なときには、ガッと踏み込んでいいという。
燃費が悪くならないのだ。
エンジニアは、踏みしろの7/8程度までだったらOKという(!!)。
高圧縮の効率の良さを始めとし、空力、タイヤ、標準軽量アルミホイール等々、エンジニアの技術の結晶。
まだやれる事がある。
ハイブリッドではなく、従来からの技術の延長でのこの成果に、人は驚き、評価した。
しかも、エコなだけの鈍重な小型車ではなく、運転の楽しさを、けしてないがしろにしない。
マツダのクルマ作りへの誇りと、深いこだわりを見た。
(新型デミオの全てを紹介したわけではありません。記事中の間違いは指摘して下さい)
参考資料:Response
車検を受けてきた。
車検までの2年のなんと早い事か。
今年は、自分で車検を受ける女性が目についた。
たまたまだろうが、ユーザー車検(この俗称も何だか変。車検は本来ユーザー自身が受けることになっている)も、ポピュラーになってきたものだ。
車検を受けるために列を作って並ばされる。所用で列を離れた私が戻ると、前の女性が、ドライバーでホイールキャップを外そうとしている。
車輪の取り付けボルト等をチェックするため、ホイールキャップは、事前に外しておかなくてはならないのだが、彼女はそれを知らなかったのだ。
炎天下で苦労していたので、バコバコバコと、外してあげた。
素手で外れることを知らなかったが、知っていても、女性では難しいかもしれない。
今回の車検は、思わぬ所に落とし穴があった。
マフラーと車体を取り付けている、最も後端のステーが錆で切れていたのだ。
当然、車検はパスしない。
慌てて、近所のホームセンターに行き、ステーやボルト、スパナを購入し、マフラーと車体を繋いで再検査を受けた。
結果はOK。
少々焦った。
所で、再検査を待つ間、前の車のオッサン(爺さんに近い)が、
「これが(彼が持ち込んだ車の事)、エンジンを切っても止まらんのよ」
「どげんしたんじゃろ」
と、聞いてくる。
オッサンは、ブルーのつなぎを着た、プロの整備屋風。
私は、「ジーゼリングが起きているから、点火時期が遅いんじゃないですか?」と、適当な事を言った。
言いながら、「これってやばいよな」と思った。
オッサンは、「車体検査では、エンジンを停止させられるから、止まらないとはねられるかな」といい、「バックに入れとくか」と加えた。
そして、「車検は、テクを使わないと上手く行かんから」と笑った。
2年振りの車検だから、手順にまごつく私に、係りの女性は、検査書類に「初心者のスタンプを押しておきますね。ライン(検査ライン)でも、親切にしてくれますから」と、「〇初」印を押してくれた。
オッサンに偉そうなことを言った私は、ソーっと、「〇初」印を隠すのだった。
自動車整備士「たけしくん」こと、井狩さんのブログ。
様々なメーカー別の車の修理記録を載せている。
自動車整備の好きな方でなければ、面白くもないかもしれないが、整備記録を読むのは楽しい。
メーカーの車種別故障傾向や、姿勢が感じられる点もいい。
どの分野でも同様だが、故障箇所を絞っていくロジカルなプロセスは面白い。
ただし、かなりの量なので、全てを読んだわけではない。
気に入ったのは井狩さんの整備姿勢。
職人気質なこだわりに共感する。
といっても、気難しいという感じではなく、文章も簡潔で読みやすい。
整備記事の他に、
メンテナンス一般(15)
ホントの話(18)
も興味深い。
記事の中に以下のような記述があった。
『ハイブリッド車など、故障診断機無しでは定期点検すらできない自動車が増えつつある中、僕たち町工場の自動車整備士は、「できなければディーラー任せ」という図式を少しでも改善したいですね』
このような、井狩さんの気概に共感する。
こうでなければいけない(よね)(独断)。
以前、車検を出していた整備工場は、タイミングベルトの交換をディーラーに頼んでいた。車検後、車の調子が微妙に悪くなったのも重なり、出すのを止めた。
タイミングベルトの交換位はやってもらいたかった。
それなりの理由があるのだろうが、何故か寂しかった。
記事のために、画像を撮りながら作業を続けるのは面倒だとは思うが、メカ好きな私には有り難い。
井狩さんのブログは、整備のハウツーページではないが、自己整備を趣味とするアマチュアのために、もう少し詳しい手順を載せてくれると、喜ぶアマチュアは多いと思うのだが、難しいリクエストかもしれない。
というのも、
無礼な通りすがりの方が、メールで相談してくる。
その返答に、分かりやすい文章で返答するのは大変だ。
そのようなビジターが増えるのを心配するから。
(可能ならお願いします)
メールのやり取りもしているが、誠実な人柄を感じる。
近くに、このような整備士がいる方々が羨ましいと思う。
クサカ自動車 有限会社
京都市北区紫野西舟岡町 3
075-451-5997
担当:井狩武史
ブログサイト:「車の修理屋たけしくん」
Austin 7 Nippy Sports
ピーターの工房にあった、Austin 7 Nippy Sports。
興味深いことに、オースチン7を見られるとは思ってもいなかった。
実車を見るのは初めてなのだ。
ちなみに、ニッピィスポーツの製造期間は1934-1937年。
非常にシンプルなエンジン、補器類。まだ新しいバッテリー。なんと6V。
小さなシリンダーブロック。排気量747cc、しかし4気筒。
ラジエターは最近交換したという。ディストリビューター、フロントのブレーキワイヤーも新しいものが取り付けられていた。
部品は、今も新品が入手できるという。日本のレストアマニアには垂涎の状況である。
「セブン」は、かなり小型で、ホイルベースは、たった1905mm。トレッドは1016mm。初期形は360kgとかなり軽量。
シャーシは形鋼による鋼製だが、平面で見ると一般的な梯子形ではなく、前方を頂点とした「A」形で、エンジンは前方の狭くなったチャネルセクション間にマウントされる。
フロントサスペンションはビームアクスル(固定軸)で、A型シャーシの頂点で固定されるリーフスプリング。
4気筒エンジンは747cc、ボア56mm、ストローク76mm、出力17hp程度(?)サイドバルブ、アルミ鋳造クランクケース、鋳鉄製シリンダーブロック。
冷却はウォーターポンプのない自然循環式。だが、水量に余裕があるため、オーバーヒートの問題はないという。
彼は、クラシックカーマニアという感じでもない。特に綺麗にしているわけでもない。普通に実用車として使用している。
連れ合いのリクエストで乗せてもらえることになった。
半日の充電で、エンジンは簡単に始動した。快調、異音も無い。
風邪で調子の悪いピーターには気の毒だったが、彼は余計な事は言わずに車を出した。
40マイル(64km)はすぐに出たが、50マイル(80km)はようやくだったという。
だが、そんなことはどうでもいい。英国で、スリリングなコーナリングを楽しんだ嫁さんはラッキーだ。
国土交通省の行った、自動車エコ整備の報告。
自動車の定期点検整備において、CO2の削減効果が期待される項目について実証試験を行い、その結果をまとめている。
通常の定期点検などで、どの程度CO2が削減できるかを試験し、確認した。
試験対象:平成13~15年に登録され、現在使われているATガソリン乗用車。
試験台数:10台(先行試験3台、本試験7台(1台は動作安定せず除外))
試験項目:
・エアクリーナエレメント交換
・エンジンオイル、オイルエレメント交換
・タイヤ空気圧調整
追加試験
・燃焼室洗浄
・潤滑油系統洗浄
試験結果(本試験6台分)
・エンジンオイル、オイルエレメント交換:平均改善率:0.28%
・エアクリーナエレメント交換:平均改善率:0.56%
・タイヤ空気圧調整:平均改善率:1.33%
総括
6台の平均改善率として、約2%の効果が確認された。
その他
・燃焼室洗浄、及びエンジン潤滑油洗浄効果は認められなかった。
・エンジンオイルは、SAE10W-30に交換して測定。
・先行試験ではプラグを新品に交換したが、3台共燃費が2%近く悪化したため項目から除外。
若干期待したのだが、内容の乏しい調査報告であるとの印象を否めない。
現状では、エンジンオイルは、省エネ効果が高いと言われる、SAE0W-30等の低粘度オイルの人気が高くなっている。そのような省エネ効果が高いと言われるオイルとの比較も欲しい。
なぜ新品に交換したスパークプラグの燃費が下がったのか、原因の究明が欲しい。
また、人気のイリジウム電極プラグ等との比較も欲しい。
車検項目であるサイドスリップの基準への疑問が言われているが、車検基準内でも、タイヤの偏磨耗が起きる場合もある。
サイドスリップ量の違いが及ぼす燃費についての試験も欲しい所であった(これは、車検基準の意味を問うことになるから行わなくて当然か)。
燃焼室洗浄、及びエンジン潤滑油洗浄効果がほとんどなかったという点については納得。
タイヤ空気圧は、徐々に減るから、定期的にチェックして適正圧を保つべきということ。ちなみに私は、10%程度高めにしている。これは効果があるが、タイヤが偏磨耗を起こすようだと、少し下げる(これまでの経験によると影響はほとんどない)。ただし個々の責任で行うこと。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)をタクシーとして採用する動きが加速しているそうだ。
特に、神奈川県では急速充電の整備状況が目標以上の達成度を見せ、同県の呼びかけに対し、県内のタクシー事業者各社もEVタクシー導入に積極的だという。
所で、EVにとっては、冷暖房が大きな問題であり、特にヒーターを使えば、走行距離が極端に低下するという事実を、ほとんどのマスコミが触れていないのはどういうことなんだろうと思う。
三菱自動車が2009年7月に発売した電気自動車「i-MIEV」の場合、
・バッテリー容量:16kWh
・走行距離:160km(フル充電時、ただしエアコン・ライト・電装品など未使用?)
・充電時間:通常8時間、急速充電30分(8割まで)
・価格:459万9000円(税込)
国の補助金139万円+地方自治体事の補助金有。神奈川の場合実質購入価格 約250万円
外気温によっても変わるが、「i-MIEV」の場合、ヒーターを使うと、3割以上の走行距離減になるとも言われている。すると、Max160kmが110km前後まで引き下がり、ヘッドライト等を使う夜間なら更に下がる。
従来のリチウムイオン電池の寿命は、充放電の繰り返しサイクルで長くても 1000回。これを越えると交換が必要になる。電池の寿命が1000回だとすると、ほぼ毎日充電した場合、だいたい3年に一回は電池の交換が必要となる。
急速充電だと寿命は更に下がる。
また、一般のリチウムイオン電池は、急速に充電したくても安全性の問題から急速充電時間には限界がある。
急速充電でも30分(8割まで)を待てるか?。EVを否定しているわけではないが、私は待てない。
さらに、出力特性だが、外気温が-10℃程度の場合、一般のリチウムイオン電池では放電容量が大幅に低下する。つまりパワー不足となる。
次に入力面(充電)についてだが、一般のリチウムイオン電池では、低温で急速充電を行うと電池が破壊されるために制約が必要となる。
普及のために自治体が採用するのは目をつむっても、民間タクシー業界が導入を進める理由が判らない。
東芝の「SCiB」等、改良されたリチウムイオン電池も出てきてはいる。今後も様々な改良バッテリーが登場するだろう。それでも、冬季の実用性には疑問が残る。
以前、ビートル用の灯油(ORガソリン?)燃料のストーブ(ヒーター)があった。これを燃して暖をとるのだ。
皮肉で滑稽な話だが、将来、EV用灯油ヒーターがショップで売り出されるかもしれない。そして、そちこちのブログで「結構いいですよ」などと、使用感が述べられたりするのだ。
仕事上、バッテリー式電ドラは無くてはならない工具である。
急速充電15分だって待てない。やはり、予備バッテリーの即時交換による作業継続しかない。
EV実用化への現状での解決案は、バッテリーを規格化、カートリッジ式とし、バッテリーステーションにおいてのワンタッチ交換だろう。
(日産が試みている?)
長くても数分での交換作業完了。
バッテリーは、後ほどゆっくりと安全速度でチャージするのだ。
シンプルな機構で全方向に移動できる車両は「夢」だと思う。
大学や研究機関でも、様々なオムニドライブの研究がなされているが、シンプルなものは、なかなか無い。
今回のホンダの提案(前回の記事)は、いいセンで、実用の可能性が高い気がする。
ホンダの機構は「Holonomic Drive」(画像上)をイメージするが、それを超えた「目から鱗」ものだ。
ただし、1輪につきモーターが2つ必要なので、今回のような提案か、車椅子のような2輪車程度がいいのかもしれない。
また、トラクションを得にくい弱点があるから、福祉車両のように低速で軽量、あるいは原子炉内部のような特殊環境での点検、軽作業ロボット等に適正があるかもしれない。
同じく前回紹介した、「Omnix Technology Systems」社の「Omni-Directional Wheel」は、1973年、スェーデンの発明家「Bengt Ilon」と「Mecanum」社によって全方向ホイールのアイデアを具体化されたものである。
「Omnix Technology Systems」社の「Omni-Directional Wheel」は、「Mecanum Drive」と呼ばれるもので、若干「Holonomic Drive」に似ている。ただし、ホイールに斜めにローラーが付いている。
各ホイールに付いているローラーの向きは図のようになっている。
図右側ホイールが、前後共内回り、図左側ホイールが前後共外回りに回転すると右に横移動する。
前後の回転に差を生じさせると斜め方向に進む。
複雑なホイール、コントロール。トラクションが低く、ホイールの対角方向に進む場合の駆動力が弱いという弱点がある。
参考にさせて頂いた、「Omni-Directional Drive System」の文献は、「Ian Mackenzie」氏のもので、「FIRST Robotics Canada」のサイトにある。
ホンダがオムニドライブシステム(Honda Omni Traction Drive System)を持つ電動1輪車(試作機)を発表した。
体重移動だけで方向や速度をコントロールできるというもので、前後は勿論、真横やどの斜め方向にも移動できる。
しかも、実にシンプルな構造でそれを実現。車体も大層コンパクトに仕上がっているのが素晴らしいと思う。
アシモの研究で培った姿勢制御技術を応用し、傾斜センサによって、ドライバがどの方向にどの程度の速度で移動したいのかを判別。そのデータに基づき、傾きを回復させる緻密な制御を行い、なめらかで機敏な動きと、体重移動だけの簡便な操作性を実現させた。
この試作機のオムニドライブ機構は、複数の小径車輪を一列につなぎ合わせて構成した大径車輪の両サイドにドライブギアを有し、2つのドライブギアは、各々独立したモーターで駆動される。
両サイドのドライブギアの回転方向を合わせれば、大径車輪が回って前後進し、回転方向を逆にすれば大径車輪は回らず、小型車輪だけが回転して真横に移動することになる。
また、2つのモータの回転速度を変えることで,大径車輪と小径車輪が複合的に動き、斜め方向に移動することができる。
ホンダの機構は、従来のオムニダイレクショナル ドライブ(Omni-Directional Drive)機構の中でも、在りそうで無いユニークなものである。
オムニドライブは、停止位置から全方向への移動が可能な推進装置で、実用化されれば広範囲な利用が期待でき、昔から様々なアイデアが出されてきたが、実用例は少ないと思う。
私は、宮城職業訓練短期大学校時代に、六車義方氏の特許であるトロコイド推進装置を応用した遊具を、学生の卒業研究として制作したことがある。
これは、回転する円盤下に3~6個程度のキャスター状の小型車輪を取り付け、小型車輪は連結棒によってコントロールバーと繋がり、首を振る。その首振り方向、角度によって移動方向と速度が変えられるという、オムニドライブの一種であった。
全てのコントロール(方向、速度、ブレーキ)は、1本の操縦桿で行うことができ、小型車輪の軌跡がトロコイド曲線を描く。
ちなみに、オムニドライブ機構(Omni-Directional Drive)の長所は、まさしく全方向に移動できるということ。
短所は、機構が複雑、重い、強度への不安、駆動力不足(駆動ロスが大きい)等である。そのため、家屋内、介護、車椅子等の低速、短距離で小回りが利くような用途に威力を発揮すると思われる。
画像右は、「Omnix Technology Systems, Inc.」のオムニドライブ用ホイール。前後輪を逆回転させると真横移動ができる。
NEXT »