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オートモビール

電動スーパーチャージャー前回書いたように自動車の技術において、様々な車載デバイスの電動化が進んでいる。
最近(2008)発表された電動化技術の一つに電動スーパーチャージャーがある。

ターボチャージャーは排気ガスの圧力によってタービンを回すため、アクセルを踏み込んでからエンジンの回転が上るまでは過給効果が低い。つまり、ターボラグと言われる弱点がある(最近は相当の技術対策が行われているが・・)。

一般的に言えば、スーパーチャージャーはエンジンによって駆動されるため、応答性はターボに比べて優越するが、過給器の回転がエンジンに依存するため、過給圧を高めることが難しいという問題がある。

2007年初頭、フォルクスワーゲン社は、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせたTSIエンジンを搭載したゴルフを発売した。
異なる過給器を組み合わせることによって出力を確保しながらエンジンのダウンサイジング化を図り、それまでの大型エンジンよりも軽く、出力は同等というシステムを開発し評価を得た。
(排気量1399cc直噴エンジンと組み合わせ、2400ccエンジンに匹敵する性能と、歴代ゴルフシリーズで最高となる1000cc当たり14kmの燃費性能を実現した)

今回発表された、英国Compound Power Technologies社の電動スーパーチャージャーは、ターボと組み合わせることで、フォルクスワーゲンゴルフTSIよりも省エネで、高性能なダウンサイジングエンジンの可能性が高いデバイスである。
電動化によって、エンジン駆動よりもクイックな応答が可能である(約1/4秒で必要なトルクを発生。常用回転から7万回転まで、0.35秒で到達する)。つまり、低速域から力強いエンジン特性をプログラミングできるデバイスであり、ダウンサイディングエンジンに適していると思う。

押し並べて、電動化のメリットは、構造のシンプル化。軽量化による省エネ効果が大きいわけである。
電動スーパーチャージャーもそうであるが、機械抵抗の多い部分、マッスのある部分を電動化できれば省エネ効果は高い。究極の一つがバルブの電磁駆動だろう。電磁石によってバルブ自体がプランジャーになるということだ。これは難しいかもしれないが、取りあえず、カムシャフトの電動化なら実現性は高いのではないか。クランク軸とシンクロし、自転車のように電動アシストでも省エネ効果は高いと考えられる。

クランクのマッスやデファレンシャルも大きな抵抗である。ホイールを個々にモーター駆動し、コントロールすれば、デフもクランクも不要。そうすると、究極は電気自動車に辿り着く?
そういった極論的、あるいは(ある意味)諦念的なソリューションには、メカニズム好きの私としては面白くない。そこにつながるまでの内燃機関自体への改良の技術的な取り組みが楽しみであり、期待する部分なのだ・・。
(例えばガソリンによるHCCI燃焼(予混合圧縮着火)エンジン(簡単に言えばガソリン燃料を用いたジーゼルエンジンのような機関)等々)

電動スーパーチャージャー構成図

参考及び引用資料
Green Car Congressから「Electric Supercharger Can Enable More Extreme, Cost-Effective Engine Downsizing」
Gizmingから「Electric supercharger promises instant power boost」

電動パワーステアリングは一般的となったが、車の諸装置の電動化が進んでいる。省エネルギー効果と使用状況に応じた精密最適なコントロールが可能なためである。

新型プリウスには電動ウォーターポンプが搭載された。電動にすることにより、エンジンへの負荷が軽減できる。プリウスの場合、燃費を2%程度向上させることができるという。

従来の機械式ウォーターポンプは、水量がエンジンの回転数に比例して増加するため、水量を任意にコントロールするのは難しいが、電動化は、任意のコントロールが可能なため、エンジンの温度によって最適な水量にコントロールすることが可能となる。
電動ウォーターポンプにすればサーモスタットを無くしても、センサーを用いて適切な水流のコントロールが可能だと思うが、素人考えか?

また、トヨタは、2006年9月に発売した「レクサスLS460」のエンジンの吸気ポートで、モーター駆動による連続可変バルブタイミング機構を採用した。
油圧式と比べて、燃費は3~4%、出力は2~3%向上し、エンジン始動直後でHC(ハイドロカーボン)の排出量が30~40%低減できるという。
ただし、採用したのは吸気側だけで排気側は油圧式。これはコスト対効果のバランス?。

ステアリングやブレーキシステムにおいても電動が提案されている。
油圧やワイヤ、機械式連動機構を用いず、各種装置を電気的に操作することをエックス・バイ・ワイヤといい、他にもスロットル・バイ・ワイヤ、シフト・バイ・ワイヤなどがある。
余談だが、新型レガシイのサイドブレーキは、所謂パーキングブレーキ・バイ・ワイヤである。

機械的な伝達機構を使わないエックス・バイ・ワイヤには、さまざまなメリットがある。
軽量化、電子制御によってセッティングの自由度が大幅に増す等。

ステアバイワイヤに関しては、エンジンルームのレイアウトの自由度が増す。シャフトがなくなるので衝突時に運転者の安全を確保しやすい。エアバッグの収納スペースが大きく取れる。右ハンドル、左ハンドルを簡単に切り替える。車両姿勢を安定化する制御がしやすい。運転者による危険な操舵を抑制できる。さらに、自動運転が可能。障害のある人でも運転が可能になったり、運転者のスキルに合わせて操舵量を制御することもできる。

勿論欠点もある、しかし、光洋精工株式会社の提案した「ステアバイワイヤ(SBW)開発による操舵性能および車両挙動安全性の向上」技術は(社)自動車技術会から2001年第51回技術開発賞を与えられている。この技術の将来的なポジティブさが評価されたのだと思う。

電動ディスクブレーキドイツContinental社は2007年10月20日の技術試乗会「Technology Ride 2007」で、電動ブレーキを公開した。
ブレーキをバイワイヤ化すれば、複雑な機構が必要なABS(Anti-Lock Brake System)や、横滑り防止装置なども制御ソフトだけで実現できる。その他、軽量化や、油圧配管がなくなることで組み付けが容易になるという製造上のメリットもある。

前輪と後輪の両方のブレーキを電動化するメリットとして同社担当者は、「4輪のブレーキを個別に作動させることができ、安全性が高まる。現状ではドライバーがブレーキペダルを踏むと4輪すべて同等の制動力がかかっているが、電動ブレーキでは個々に変えることが可能になる」と、電動化のメリットを説明する。

また開発担当者は、フロントブレーキは大きな制動力が必要なことから42V電源が必要になる。現行の12V電源でも昇圧回路を用いることなどで実用化の可能性を探っている段階という。
(続く)

記事のソース
「テクのサロン」から「バイ・ワイヤー技術の先進性」
「Teck-On」から「ドイツContinental社、開発中の電動ブレーキを公開」「ステアバイワイヤで技術開発賞を受賞」「エックス・バイ・ワイヤ」等。

以前、若干触れたことのあるマツダのアイドリングストップ技術(i-stop)。
マツダは、2005年第39回東京モーターショーにおいて、スターターモータを使わないでエンジンを再始動させる「スマート アイドリング ストップ システム」を発表した。
このアイデアで、2006年第16回「日経BP技術賞:機械システム部門賞」を受賞している。

構造を簡単に説明すると、圧縮行程にあるシリンダーに燃料を極少量噴射して点火し、クランクを逆回転させる。そのとき膨張行程にあったピストンは逆に押し上げられる。そこに再度燃料を噴射し、点火することでピストンは再び下降し(正常回転)、エンジンは再始動するというものである。

始動用モーターを使わないでエンジンを再始動できるアイドリングストップ機構のため、バッテリを強化せず、ハードウエアの追加を最小限に抑えられる。
モータを使った再始動では0.7秒程度かかるものが、このシステムでは0.3秒ですみ、10.15モード燃費も約14%改善するというものである。

ほぼ空気量が同じくらいの位置でエンジンを止める(ピストンを、ほぼ同じ位置で止める)必要があるため、オルタネータをブレーキとして使う。クランク位置を精密に制御するため、精度の高い位置センサが必要となる。また、正確な燃料噴射が必要となるため、当然ながら直噴エンジンが前提となる。

このアイドリングストップ技術を搭載した新型車(マツダ アクセラ)が、2009年半ば、ようやく国内発売される。

当初のアイデアは、スタータモータを使わずにエンジンを再始動することだったが、実用化にあたり、予備回転用の燃料使用のため、燃費改善効果が薄いことが分かり、再始動時はスタータモータを併用する方法に変更された。
スタータモータでエンジンを回転させるのと同時に、燃料を噴射して点火することで、使用燃料を当初よりも減らし、スタータモータの使用時間も短縮、再始動時間を短縮した。
結果的に、0.35秒という短時間での再始動を可能にした。これはエンジンの再始動をまったく意識する必要のない感覚とのこと。

素早い再始動を実現するには、ピストンの停止位置が非常に重要となる。クランク角で30~120度の範囲において、速やかな再始動を行うことができるめ、常にこの範囲にピストンが停止するように制御する必要がある。
エンジンは停止時にクランク軸のカウンターウエイトの重みでわずかに逆転する場合があるので、逆転も検出できるボッシュ製の新センサを採用した。これによって従来より正確にピストンの位置を把握し、素早い再始動を可能にしている。
(注:逆回転の検知の必要性として考えられることは、逆回転によってピストンの位置が微妙にずれる、最適範囲にあるピストンを選んで燃料噴射を行うということか?。まさかクランク軸を強制的には回さないだろう(素人の私見))

夏場では、エンジン停止中に室温が上昇するため、早めに再始動してエアコンを作動させる。このため、夏場の燃費改善は厳しいが、それ以外の季節では、ドライビングにもよるものの5、6%程度の燃費改善を見込んでいる。
また、同システムを実現するために再始動用サブバッテリ等が必要となっている。このシステム単体では数万円の価格上昇になる。サブバッテリーは結構大きく、システム維持にも費用が掛かりそう。

様々な理由があるにせよ、発表から実用までに4年近く掛かった。クランクを始めとするシステムの精密なコントロール、また、ベースとして高度な直噴エンジンの技術は不可欠。全ての新技術に共通することだが、技術の積み上げから検証を経ての商品化には頭が下がる。

新しいものを生み出していくことは大変である。しかし、そこには技術者としての誇り、顕然としたロマン、そしてカスタマーの満足への喜びがある。皆、努力をしていると、思う。

車の新技術に関し、割と気軽な気持ちで書こうと思っていた。所が、書くにあたって調べると、知らないことや、解説を読んでも理解できない説明も多く、個人的なブログとはいえ簡単には書けなかった(注1)。

ミラーサイクルにしてもそうだし、ポンピングロスというのは燃費を1割前後落としているという事実さえ知らなかった(知ってもどうなることでもないのかもしれないが・・・(ポンピングロスの少ない領域を使用して燃費を向上させる運転方法のサジェッションを記しているサイトもあったが(注2)・・))。

温暖化への対応で、自動車の燃費規制は2020年に20km/L(車両平均)に達する可能性があるそうである。法規制も厳しくなっているし、販売に直結するメーカー間の燃費競争もあり、実に様々な技術が研究され、試され、また搭載されているのは驚きである。しかし、ハイブリッド技術をしてで国産メーカーにはアドバンテージがあるような報道があり、割と安心している我々ではあるが、実は、採算が見込まれる有力技術は欧州企業が先行し、国内メーカーはむしろ出遅れているという。
現在、日本の自動車の生産台数が多いとはいえ、アングロサクソンの粘り強さを決して侮ってはいけないのである(注3)。生産台数に限っていえば、いずれ中国にその座を明け渡すのは明らか。カブタイプのモーターサイクルのように・・。

参考までに、前回書けなかった新技術の動向と部分的な解説を補足的に述べると・・

2010年度燃費基準と達成に必要な技術は・・
摩擦低減
可変バルブタイミング
CVT etc・・

2015年度燃費基準と達成に必要な技術は・・
可変バルブリフト
直噴化
アイドリングストップ(注4)
DTC(注5)

2020年度燃費基準と達成に必要な技術は・・
可変圧縮比エンジン(注6)
HCCI燃焼(注7)
希薄燃焼

省エネのための新しい技術革新には驚くが、その一方で、3、4、5リッターのエンジンを載せた新型車が世界的に矢継ぎ早に登場している(特にここで触れたくもない・・)。

余談だが、ターボチャージャー装着エンジンはガソリンの気化熱で冷却する場合が多いという。このような技術に対しては、ポジティブな評価を与えたくない。
所で、木工作業において木材を昇降盤で縦に切断する場合、切断された部分が締まる(閉じる)場合がある。木材内部の含水率が低く、内部応力が残っていることが原因だが、閉じた木材が高速で回転する鋸刃を締めることにより、鋸刃の回転力によって材料が作業者の方向へ激しく戻り、非常に危険である。
このとき、送材を止めると摩擦熱で鋸刃がぐにゃぐにゃに変形する。そこで、鋸刃が発熱してきたと感じたら、いっそう強い力で材料を押し、木材中の水分で鋸刃を冷却すると切断を続行できる場合がある。ただし、押したほうが良いのか、すぐにスイッチを切ったほうが良いのかはケースバイケースだからビギナーには薦められない。

注1:そういうわけで、この記事を書くためにかなりの時間を割いた。自分でも何をやっているのだろうという疑問を抑えながら・・。

注2:アドレスを控えていなかったので裏覚えだが、大雑把に言うと、アクセルを開けていないほうがポンピングロスは大きいので、多少開けて走るというもの。勿論、開けすぎるのは禁。

注3:国産に多い綺麗なだけで味のないスタイル。アイデア段階から醸成へ昇華していない「生」なデザインのままの「オロチ」や三菱「コンセプトcX」は、はまさしく稚拙の一言(加えると、今話題のN社のスーパーカーのパッケージも、くどくて整理されていないと、個人的には思う)。
欧州車もトーイ化してきたとはいえ、完成度の違いは明らか。上記の新型国産車は、基本的に普遍への理解と要求度が違うことを実感させる一例。また、メルセデスの安全思想車体に追いつくまでにトヨタをして10年かかったという話を聞いた。水抜き一つにしても防錆への些細な配慮の違いなど、結局は民族の文化の質が設計の質を決定付けているのは間違いない事実。

注4:アイドリングストップ
興味ある事例:日経BP技術賞「機械システム部門賞」受賞。マツダ「スマート アイドリング ストップ システム」
この技術は、エンジンストップのたび、スタートにスターターを使用しないシステムである。直噴ガソリンエンジンでしかできないが、実に発想がいい。
作動原理は、先ずピストンをシリンダーの中間あたりで、ほぼ同じ高さになるように止める(これには正確な制御が必要)。
次に、圧縮行程にある(つまり上昇途中の)シリンダーに燃料を微量噴射して点火する。圧縮行程とは言っても,しばらく止めれば圧縮は落ちている。圧縮しないのだから大した力は出ないが、それでもちょっとは回る。ここがミソ。圧縮行程にあるピストンを押し戻すのだから逆回転になる。その時、膨張行程(下降途中)にあったピストンは逆に上昇を始める。そこに点火。爆発はささやかだが、1回目の点火より大きな力が出る。このときの回転方向は普段と同じ。これがセルモーターの代わりになる。3回目以降は通常回転である。これが0.3秒の間に起こるのでドライバーのストレスはない。

注5:DLC(Diamond Like Carbon)
DLC膜の構造は通常水素を若干含有した非晶質(アモルファス)構造でダイヤモンド結合やグラファイト結合などを持つものと言われている。ダイヤモンド状の炭素結合を持った非晶質炭素膜の総称。
DLCは、高硬度で優れた耐摩耗性。無潤滑下で低い摩擦係数。摺動時、相手材を磨耗、損傷させない(低相手攻撃性)。化学的に不活性で安定。焼付き、凝着、溶着を起こさない。腐食性雰囲気中でも侵されない等の性質を持ち、物理蒸着法や化学蒸着法等によってコーティング皮膜を形成する。
日産が開発した、水素フリーDLCコーティングを、エンジン部品である、バルブリフター、ピストンリング、ピントンピンの3点に行うと、摩擦損失を従来より25%低減でき、燃費を3~4%改善する効果があるという。

注6:可変圧縮比(VCR:Variable Compression Ratio)エンジン
走行中に圧縮比を8:1~14:1程度に変化させる機構を持つエンジン。
エンジンは、圧縮比を高くしたほうが効率は高まり燃費が良くなるが、ノッキングが起こりやすくなる。しかし実際には、ノッキングが起こりやすいのは高負荷・高回転の運転領域で、それほど負荷の高くない常用域では、圧縮比を14:1程度まで上げてもノッキングは起こらない。このような実用領域で、可能な限り高い圧縮比にしてエンジン効率を上げようとするのがVCRエンジンである。
圧縮行程の距離を変化させて圧縮比を変えるが、機構が複雑、重量増加で実用には至っていない。最近日産が開発したものはマルチ・リンク・コンロッドと呼ばれるもので、コンロッドの長さをリンク機構により変化させ、ストローク量を変えるもの。これにより、上死点位置を5.5mm変化させる。ターボエンジンとの組み合わせでは「燃費・出力ともに10%以上向上できる」という。
ストローク量を変えるとはいえ、前記事のアトキンソンサイクルエンジンとは考え方が違う。

注7:HCCI燃焼(予混合圧縮着火)(HCCI:Homogeneous Charge Compression Ignition)
ヂーゼルエンジンのように圧縮による発熱で着火する燃焼システム。昔、キーを回してエンジンを切った後、暫くエンジンが回っていたアフターランと同じ原理。優れた効率と排出ガスの大幅な低公害化を実現できる興味深い技術だが、制御が難しいらしい。

前回と今回の記事のソースの多くは、「Tech-On」のAutomotive Technologyを参照させて頂きました。

モーターショーの影響からか、部品メーカーからの提案を含め、車に関する新技術を目にする機会が多かった。それは効率改善、燃費向上、軽量化、高品質化などである。
先進技術や新しいメカニズムが好きな私にとってたいへん興味深い。

言うまでもないが、CO2排出削減が大きな目的であり、また石油需要増加に伴う燃料価格上昇対策でもある。
ちなみに、世界のCO2排出量は、50%が発電所と工業部門によるもので、自動車のCO2排出量は全体の15%前後。しかし、車両の燃費改善にもかかわらず、途上国での販売増加により自動車が排出するCO2排出量は増え続けている。

新技術はエンジン本体は勿論、車体全ての構成要素に及んでいるが、全ての補助装置の電動化(バイワイヤ技術)が進んでいることを感じた。エンジン補機類の電動化により、直接エンジンからパワーの供給を受けないことにより効率を上げるということである。
最初はパワステがそれまでの油圧からバイワイヤに変わった。同様の理由でウォーターポンプやオイルポンプも電動化されそうである。

余談だが、ステアリング(操舵装置)もモーター駆動の提案がされ(注1)、ブレーキも電動化の提案がされている。
ステアリングは軽量化や電子制御による最適なコントロールが可能であるということか?。また、ブレーキの電動化はオイルラインの廃止による生産性の向上、また4輪のインディビジュアルな制御による安全性、操縦安定性の向上ということか?。

最も望まれるエンジン電動化の一つは電磁バルブであろう。多大なバルブ駆動のエネルギーロスから解放され、最適なタイミングとリフト量の電子制御による圧倒的な効率改善に繋がることは素人の私にも理解できるが、実現は当分先?。

エンジン自体の改良のトピックには実に様々あって素人ながら興味深い。
その一つがミラーサイクルエンジンである。
通常のレシプロエンジンの場合、吸入された混合気が爆発し、ピストンが押し下げられる。もしも、押し下げる余力が残っているならば、そして、さらにピストンが下がり続けることが可能ならば、まだまだ、爆発エネルギーを利用(回収)することができる。しかし、現在のレシプロエンジンの形式では、ピストンのストローク量は決まっているので、爆発した膨張ガスの圧力が残っていても、ガスは排気弁から強制的に排出されてしまう。この捨てられているエネルギーを回収しようとしたのが、アトキンソンサイクルエンジン(膨張比が圧縮比よりも大きくなる状態を実現したもの)である。ただし、構造が複雑になるなどという理由でレシプロエンジンとして実用化(一般化)されていない。

所が、ある技術者(R.H.Miller氏)がインレットバルブ(吸気バルブ)の動作により、擬似的にアトキンソンサイクルを実現するというアイデアを思いついた。
例えば、通常の吸入行程の半分で吸入を停止する(インレットバルブを閉じる)(注2)と、吸入量よりも膨張量のほうが大きくなり、効率が上がるわけである(圧縮が落ち、圧縮比よりも膨張比のほうが大きくなる)。これを通常ミラーサイクルエンジンと呼んでいる。

マツダの新型デミオはミラーサイクルエンジンとCVT(Continuously Variable Transmission)の組み合わせにより、燃費は10・15モードで23.0km/Lを達成している。

スズキの3次元カムエンジンも面白い。
3次元カムは、低速から高速用まで形状の違う通常のカムを何枚か合わせてきれいにつないだものと思えばいい。この立体的(3次元)になったカムをボールネジで左右に制御し、カムのどの部分がフォロアに当たるかを決定する。
BMW社の「バルブトロニック」、トヨタ自動車の「バルブマチック」などと競合することになるが、機構がシンプルで摩擦損失も小さいということがメリットだが、カムの製造にコストがかかりそうである。

ちなみにカムは塑性加工で造り、研削し、最後に精密ショットピーニングをして仕上げる。外周が曲線になった砥石で3次元形状を研削する。一般的な研削盤を使うが、加工には4分かかり、NCデータ量は一般のカムの200倍に達するという。
ミラーサイクルにもでき、燃費は20%、トルクは6%向上する。数年後の実用化を目指すという。

注1:日本精工製のステアバイワイヤは、二つのモータの回転力で前輪のタイロッドを直接動かすことにより操舵する。今回試作発表されたものは、左右輪それぞれを、ピットマンアームと呼ばれるロットで操舵する。ステアリングシャフトが省けるのはもちろん、ラックとピニオンも不要で従来よりも大幅に機構が簡略化でき、スペース効率も向上するのが特徴。モータを二つ備えるため、どちらかのモータに不具合が生じても残りのモータで操舵できるので安全性も高い。

注2:バルブを早閉じにすると、その後無理に膨張させなければならず、これがポンピングロスとなって効率を落とすので、遅閉じにすることが多い。遅閉じの場合、通常よりポンピングロスは低減される。この場合、混合気はインテークマニホールドに吹き返すことになる。

個人的に、初代アウディTTクーペは驚きだった。造詣に対する久々の感動があった。
シンプルでありながら、主張が明確でダイナミックさと斬新さを備えたフォルムだった。

判りやすい造形を持ち新しさを備える。
これを表現するのは難しい・・と思う。奇をてらい、小手先に走ると全体とのバランスが壊れ、基本とするイメージや概念がボケる。
理解し難い造形やフォルムは、ときに、隠し味として長持ちをするデザインのキーとなるが、市場に理解されなくても困る。

やはり、形を生み出す側のロジカルな思考の積み上げが必要であり、イメージの醸成と造形上の矛盾点を潰していくためには時間が必要なのである。

欧州車に肩入れするわけではないが、それらは判りやすい造形を持った、シンプルなものが多く、そこに、新奇性や新しい解釈が存在し、かつ飽きないデザインを目指していることを感じさせる(このコラムで繰り返し述べてきたことだが)。

所で、造形においてロジカルな思考の積み上げとは何だろうか?。
形や面の構成における矛盾点の克服とは何か?
そもそも、面の構成における矛盾点とは何か?
ある面の構成において美醜の違いはどこから来るのか?
何故、国や民族や時代を超えてほぼ万人がそれを共通認識として持つことができるのか?
絵画、音楽、文章も含め、不思議なことに、人類には美しいものに対する共通認識がある。それがどこから来ているか判らないが・・。

Citroen C-Cactus 1話は変わるが、第62回フランクフルト・モーターショーに出品された、Citroen社のディーゼルハイブリッドのコンセプトカー「C-Cactus」にも共感を覚えた。

フロントバンパーにヘッドランプを組み込み、フロントフードを開ける必要をなくすため、エンジンオイルの交換などのメンテナンス用のフラップを備え、エンジンフードと左右のフェンダを一体化。
エアコンを装備することでウインドーを開ける必要をなくし、ウインドーの枠と開閉機構を削除。ドアパネルは、通常ハッチバック車では12の部品からなるが、C-Cactusでは2つに統合している。

Citroen C-Cactus 2内装ではメータハウジングをなくし、メータなどの機能をセンターコンソールとステアリングにまとめることにより、内装のパーツ数を200点強とした。これは通常のハッチバックに比べて半分程度である。

このような、環境に対する徹底した提案と、車体のフォルムに共感したのだ。判りやすくて斬新だと思う(このようなフォルムはトレンドという感もあるが・・。ただし、ディテールは別。ディテールはどうにでもなるから目くじらを立てない)。

判りやすくて奥が深い造形。繰り返すが、これが難しい。我々の行っている家具や椅子作りも同様である。悩み、才能の無さを認めつつ、取りあえず熱燗でもあおってゐる。

記事と画像は「Tech-On」 Automotive Technologyから引用させて頂きました

では何故、欧州メーカーやデザイナーがデザインに時間をかけ、長持ちするデザインを好むのか?
そしてそれは、自動車がコモビティになってしまったと断言してもいい今、意味を持つのか?

一つには、ヨーロッパの人々が、モノを長く大切に使うという習慣が、前提として、壊れないメカニズムと同様、飽きの来ない意匠を要求するということがあるのではないか。
また、新しさの中に存在する普遍。或いは、普遍的なるものへの新たな解釈―。
長持ちのするデザインにはこのような、自然(普遍)に対する人間の解釈が存在するのではないかと思う。それは、ある種、純粋芸術への憧憬にも似た思いのような気がする。大袈裟に言うと、「自然(ネイチャー)」として提示されている、秩序への人としての共感、恭順、憧憬であり、安らぎである。そして、それは飽きの来ないスタンダードなものに内包される一つの要素であり、彼らが評価する所なのかもしれない。

オートモビールのような立体造形物のフォルムに、今日のような過激な移り変わりの激しい消費世界で、普遍を持ち込むのは容易ではない。
そのような普遍的な解釈を具現化すること、インスピレーションやインスパイヤーのようなものが人間の意識の中で醸成するまでには、一定の時間を必要とし、往々にして現代の、特に前項に見る日本企業のようなスタンスの中で具現化することはかなり難しく、メチエとして今日的な流行を取り入れたほうがイージーな解決方法であることは、多くの職業デザイナーが理解しているし、また、心を奪われている。

その結果、豊饒なフォルムの代わりに単なるフィギアに惑溺していくこととなる。それは、立体ではあるが、明らかに平面上に描かれたフィギア以上の創造性を有してはいない。単に綺麗に描かれているだけだ。ルームミラーに迫ってくる多くの新型車を見るたびにそう思う。

そこには、多くの場合、立体としての新たな解釈に欠けたフォルムが写っている。恐らく10年後には、視界に入れたくないガラクタと同様・・(つづく)。

老人マーク

2007/07/12

老人マーク私は、まだ対象年齢ではないが、車に「老人マーク」を貼り付けて暫くなる。
静かに発進し、不必要にスピードを出さずに運転したい。燃費向上、ガソリン節約ひいては環境にもいいからである。ただし、環境負荷や燃費対策として奨励されている「ゆっくり運転」ではあるが、現状でそれを実施することは結構難しい。

「ゆっくり運転」の個人的な理解は、急にアクセルを踏み込まないということ。ゆっくりスタートし、アクセルは一定で、エンジンの自然な立ち上がりに委ねる運転方法である。
アクセルを過剰に踏み込まないということは、加速ポンプの作動を抑えることができるために燃料の消費が少なくてすむ。ただし、前の車から離れすぎて、スムースな流れを阻害することになれば、後続のドライバーに苛立ちや精神的なストレスを与えることになる。特に、時間的な余裕の無い物流関係のトラックや、スポーツタイプの車で、久し振りのツーリングを楽しむ若いお兄さん等には耐え難いと思う。

実際にやってみると判るが、以前よりも改善されたとはいえ、「ゆっくり運転」への理解度は、充分とはいえない。つまり、不必要に車間距離が開くことによって苛立つドライバーは多いと思える(私は、いくら燃費や環境にいいとはいえ、一般の方々のストレスを増長するような運転をするつもりはない)。

「遅い」「危ない」というイメージが強い「老人マーク」を付けた車両は、「ゆっくり運転」の象徴のようなものである。
そこで、「ゆっくり運転」に対し、「老人マーク」車に対する市民の諦念と寛容精神(?)をもって、目くじらを立てずに捨て置いて頂ける(あるいは我慢して頂ける)のではないかと想像したのである。

「老人マーク」とは、「高齢者マーク」「もみじマーク」「枯葉マーク」等と呼ばれている「高齢運転者標識」である。
高齢者の事故の増加傾向により、初心者マークに倣って、1997年に75歳以上を対象に導入され、2002年には、対象年齢が70歳以上に引き下げられた。
初心者マークと同様に、周囲の運転者はこの標識を掲示した車両を保護する義務を有し、幅寄せ、割り込みなどの行為を行ってはならないと定めている。

所が、このマークを貼り付けてた後に運転を始めて驚いた。かなりの数の後続車が、車間距離を詰めてくるのである。距離を詰めてプレッシャーをかけてくる。流れの中にいても距離を詰めてくる大型トラックも多い。このマークを付けていないときよりもその傾向は強い。
片側交互通行で停止しているとき、進めのサインが出た直後に後続の大型トラックが追い抜きをかけてきたのには驚いた。

NHK生活ほっとモーニング(2006年10月30日放送)。「解決します! 紅葉の秋、夫婦で快適ドライブ」についての、NHKサイトでの説明では、「高齢者マーク」について、「現在は取り付け率が2割程度に止まっていますが、高齢者マークを表示したドライバーからは、割り込まれたり後ろからせかされる感じがなくなったという声があがっています」ということが書かれている。「本当ですか!?」と思う。

現在、「老人マーク」車に対してのいたわりや保護意識がないことを実感している。私はここで、保護意識の喚起を求めているのではない(強いて言えば所轄行政の不十分な実証の基に制定された制度という感を強くしているが・・)。

本日もピタリと車間を空けずに詰め寄られた。遅くて危ない老人の運転する車は、いたわり対象車などではない。公道の邪魔者なのだ。
この際、「老人マーク」に併せて「初心者マーク」も貼ってみようかと思っているのだが・・。