Articles(Comments) / Total amount of posts:362
  1. 2010/06/19  ハヤブサ (0)
    2010/03/14  植物由来の超強力接着剤の開発に成功 (0)

テクノロジー

ハヤブサ

2010/06/19

まさかの帰還に評価炸裂のハヤブサ。
何度か国民に見捨てられた(?)ハヤブサだったが、彼は粘った。とことん粘って結果を出した。

主な困難の履歴を追ってみた。

2005年7月31日
リアクションホイール(姿勢制御装置)3基のうち1基が故障したため、2基による姿勢維持機能に切り替えて飛行。なお、当初より2基の運用も想定されていたため、支障なく運用。

2005年10月2日
リアクションホイールがさらにもう1基故障。残ったリアクションホイールはZ軸(?)の1基であり、これだけでは姿勢制御が不可能なため、化学エンジンを併用して姿勢制御を行い、観測を続行。

2005年11月26日
通信が途絶える。化学推進用推進剤が漏れて吹き出したため、本体の向きが変わり、太陽電池パネルに光が当たらなくなり、電力不足を生じた。推進剤の蒸発によって衛星の温度も下がる。

2005年12月2日
化学推進エンジン作動せず。

2005年12月4日
緊急対策としてイオンエンジン用キセノンガスを噴射して姿勢制御を行う。

2005年12月8日
再度燃料漏れが発生。機体はみそすり運動を始める。キセノンガスを使っても姿勢を制御することは出来ず、9日以降通信が途絶える。

2006年1月23日
ようやくハヤブサからのビーコン信号をキャッチ。
信号は20秒しか聞こえない。本体が50秒周期で自転していることが判明。そのため20秒間でコマンドを送る方法を開発。

2006年1月26日
状況が少しずつ明らかになる。12月8日の姿勢喪失後、太陽電池発生電力が極端に低下し、一旦電源が完全に落ちた模様。搭載のリチウムイオンバッテリは放電し切った状態。かつ、バッテリの11セル中4セルは使用不能。また、化学エンジンは、すでに12月上旬には燃料をほぼ全量喪失した状態にあったが、この間さらに酸化剤も新たに漏洩し、残量が全くない状態。
イオンエンジン運転用のキセノンガスは、12月に通信が不通に陥った時点の状態の圧力を保っており、残量は約42~44kgと推定。

2006年6月
通信が途絶えている間に2007年に地球帰還のための軌道を失う。そのため、2010年に帰還するための軌道計算を行う。公転の差から帰還のチャンスは3年に1度しかない。

2006年7月
姿勢制御に使用していたキセノンガスの消費量を抑えるため、太陽光圧を利用(ソーラーセイルと同じ原理)したスピン安定状態での運用に切り替える。
時間をかけ、状態を確認しながらバッテリーに充電。

2006年12月
太陽に近づいたため、ヒーターを点けて推進剤を乾燥させる。イトカワの試料への付着を防ぐため。

2007年1月17日
バッテリーを作動させ、イトカワの試料をエントリーカプセルへ移動させる。やり直しのきかない一発勝負。成功(?)が確認される。

2007年4月25日
地球帰還の為、本格巡航運転を開始。巡航運転に先立ち、姿勢制御プログラムの書き換えを行う。
ヨー軸・ピッチ軸については、唯一生き残ったZ軸のリアクションホイールと、本来、イオンエンジンの推力軸調整用であるジンバル機構を併用して姿勢制御を行い、ロール軸については太陽光圧を利用して姿勢制御を行う。

2009年11月4日
イオンエンジン1基(スラスタD)が中和器の劣化により自動停止。スラスタCも傷みが出てきている。

2009年11月11日
イオンエンジン検討を重ねた結果、打ち上げ直後から故障していたスラスタAの中和器と、スラスタB(2007年4月から使用停止)のイオン源の複合モードで運転開始。
エンジン2基を連結してのクロス運転は、地上での試験をやっていない。これをいきなり宇宙でやることは、非常にリスクが高いが、この方法しか残されていなかった。
スラスタCは万一に備えたバックアップとされ、これ以降スラスタA-Bが使われた。

ハヤブサは姿勢制御装置である、リアクションホイールを失い、さらに、イトカワ表面から離陸した後に燃料漏れを起こし、化学燃料の全てを失った。
多くのトラブルにより、1度は帰還のタイミングを逸したが、残された機能と太陽の光のかすかな圧力を利用して姿勢制御を行い、寄せ集めのイオンエンジンを用い、ハヤブサは奇跡的に地球に帰還した。

大気圏を彗星のように落下し燃え尽きるハヤブサ。そこから放出され、地表に伸びるカプセルの光跡は多くの人々を感動と共に驚嘆させた。
(画像はJAXAから失敬させて頂きました)

北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科・金子大作助教授は、あらゆる植物に含まれる分子を高分子化していくことにより、接着強度が既存の瞬間接着剤の約2倍もある植物性接着剤の開発に成功した。

この新接着剤は、従来の接着剤とは全く異なる接着機構を持ち、ガラスや種々の金属など、有機・無機材料を問わず、あらゆる材料を強固に接着することができる。また、植物由来のため環境負荷の低減と人体への安全性も期待できる画期的な接着剤といえる。

これは、植物の細胞壁に含まれる原料(カフェ酸・パラクマル酸)を用いた、カテコール性の接着剤である。
カテコールとは、ベンゼン環にOH基が2つ付いた化学構造を持つ物質で、耐熱性があり、有機・無機表面を問わずにあらゆる材料の表面に分子レベルで強固に接着する。

例えば、ムール貝はドーパと呼ばれるカテコール性のアミノ酸を出し、岩盤や船底などあらゆる表面に強固な接着をする。
また、日本古来より用いられてきた漆は接着剤としても利用されて来ており、主成分のウルシオールもまたカテコール性分子である。
この様に自然界には、カテコール基の接着性を利用した接着機構が存在している。

金子助教授が開発した新接着剤も、接着メカニズムは完全には解明されていないが、カテコール基という分子構造の働きとみられている。

「5センチ角の接着面でゾウが持ち上がる」(同助教)という。住宅の内装向けのほか、自動車の車体の軽量化などに応用が期待できる。
現在、高コストが課題で、現時点で市販すれば、価格は既存商品の約10倍程度になるという。

カテコール所で、図のようにウルシオールはカテコールと非常に構造が近い、いや一種のカテコールである。
私は、ウルシの接着力を把握していないが、木工への可能性もありそうである。
硬化したウルシは、フレキシビリティに欠けるから椅子の接着には向かないか?

接着剤としてのウルシについて詳しい方のコメントをお待ちしています。