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家具・インテリア

スラットバックチェア20年位前に制作した、スラットバックチェア。
当工房の椅子ブランド、「スタンダードチェア」の、全てのスタートは、このグリーンウッドワーキングが起源の椅子にある。

これは、知人にプレゼントしたもの。
この椅子を現在使用している、知人の息子が、編み直しのために、持ち込んだ。

長い間、屋外で使用されてきたという。
プレゼントしたものだから、制作者の私が、文句を言う立場には無い。
しかし、雨と紫外線でボロボロになったこの椅子を見たときの複雑な感情は、このような使い方をすることに何の疑問を抱かない送り主には理解されることは無いだろう。

スラットバックチェアシート部分画像では分かりにくいが、風雨紫外線によるフレーム表面のダメージはひどい。

ペーパーコードは国内産。雨に当たってきたため、かなり膨らみ、切れているが、私のサイトに載せたものと同じ工法で作ったフレームに、まったくガタはない。

トップスラットの抜け止めに打ち込んだダボは、浮き上がっているから、脚は収縮しているのである。
つまり、脚の収縮は、同時にストレッチャーを締め、強固なジョイントをキープしていることになる。

編み直しの意欲は、暫く涌きそうにないが、お蔭で、過酷な環境を経験したこの椅子の、歴史が培った構造上の完成度の高さを実感する事になった。

注:スラットバックを知らない方へ― この椅子はシェーカーの椅子のコピーではありません。ラテン諸国(地中海沿岸諸国)が起源の、シェーカーの椅子の原型です。

ウィンザーチェア素晴らしいフォーク ファニチャーにランクされる、三種類の椅子がある。
ウィンザーチェア、スラットバックチェア、ツーボードチェアである(画像はこの順番)。

古くから作られており、今も作られ、飽きることなく使用されている椅子である。
(ただし、ツーボードチェアは若干ポピュラーではない印象)

ウィンザーチェア、スラットバックチェア(ラダーバックチェアとも言われる)は、元来、グリーンウッド ワーキングの技術を基にした椅子である。

スラットバックチェアウィンザーチェアは英国で誕生した。
地中海沿岸地方で生まれた、スラットバックチェアは、中世には存在し、総生産数世界最多と言われる。

ツーボードチェアは、フィドルバック(fiddle-back)チェアとも言われ、背もたれと、座面の2枚の板からなり、座面に脚が付く簡単な構造で、通常は、背もたれに彫刻(レリーフ(カービングともいう))が施されている。
アルプス周辺地域(南ドイツ、オーストリア、スイス)のティンバー フレーム住宅に施されたウッド カービング技術が投影された椅子である。
そして、ウィンザーチェア、スラットバックチェア等のグリーンウッド(生木)を用いる椅子の貫部品と同様、十分乾燥されたパーツで作られてきた。

スラットバックチェアFiddleとはバイオリンの意であり、背もたれがバイオリンの形状をしたものが多いため、このように言われる。

ツーボードチェアは、日本では、ペザントチェアと呼ばれるが、英国では、ツーボードチェアかフェドルバックチェアだ。
ペザント(peasant)とは、農民、田舎者という意。
日本での通称は正確ではないと思っている。誰かが、そのような説明を受け、ペザントチェアと、言い始めたのかも知れない。
ウィンザーチェア、スラットバックチェアだって、歴史的には同じようなものであるからだ。
「Peasant」で検索すると、ペザントチェアは出なくて、ウィンザーやスラットバックチェアが数多く出てくるが、その事実を証明している。

どの椅子も、非常に合理的な構造、意匠を持っていて、共に飽きがこない。
目を奪う目新しさを求めることは難しいが、基本に忠実に作られたそれらの椅子は、おそらく、色あせずに使われ続けられることは間違いないと、思っている。

今年も、相変わらず、グリーンウッド ワーキングの椅子をベースにし、シンプルでモダンにアレンジした椅子を作っていこうと思っている。

画像上、中は当椅子サイト「Standard Chair」から。
画像下は、「Schweizer bau dokumentation」から引用させて頂きました。

アールズコートでは日本車が実に少ない。
ディテールをこね回し、クルマ全体から放射する個性がない日本車。そんな車ではなく、個性が明瞭で、全体とディテールがバランスし、シンプルな車が多い。目立つのはBMW、アウディ、ポルシェ(全てドイツ車!)。

このような、奇をてらわないものを選ぶ国だから、私の椅子も評価してもらえるかもしれないと、準備をしながら話していた。

誤解しないで欲しい。
出展を控え、スタンダードやトラディショナルにこだわり、最新トレンドとは乖離しているかもしれない私の椅子について、安心できる理由を探していたかもしれなかったから。

会場風景 2様々なダイレクトな評価を頂き、好意的なものも多かった。
好意的な意見は嬉しかったが、関心の高い方が立ち寄って下さるわけだから、鵜呑みにし図に乗るのは自戒した。

マスプロダクションとクラフトの融合、英国様式とジャパンの融合、モダンとトラディショナルの融合と、いってくれたデザイナーがいたが、概ね、そのような意見が多かった。
このようなスタンダードな椅子のほうがいいのだという意見も多々あり、大いに勇気付けられたりもした。

そして、最も関心を示したのは、アマチュアを含む地元のウッドワーカー達だった。
遠くは、スコットランドなどからやって来たウッドワーカーも結構居た。英語と思えないほどの北部訛りには閉口した。

何度も来た方、長時間居た方、裏を見て良いか、ひっくり返して見ても良いかと聞いてくる方、加工のやり方を尋ねる方々。
そして、彼らにとって、ウィンザーチェアーが、グリーンウッドワーキングの椅子であることが普通に認識されていることに、改めて納得した。

少しインフォーマルないで立ちのビジターが来ると、我がスタッフは、「同業者よ」という。
オーダーとは縁の無い、同業者との話が多いという、ワタクシの展示会の特徴は、ここ英国でも例外ではなかったことに、自嘲した。

100% Design Exhibition London 3

Blueprint社が主催する100%デザインアオードで賞を頂いた。
「Blueprint awards 2010 100% Design London」における、
「Most Promising New Talent」賞という、邦訳すると少々気恥ずかしい賞である。
対象はベンチ。

Blueprintとは、建築・デザインを専門とする雑誌である。
「100% Design Exhibition London」での出品プロダクトの中から、毎年選ばれた製品が受賞している(らしい)。

今年は、3カテゴリーから合計10点が選ばれていた。
「Most Promising New Talent」2点。
「Best New Product」6点。
「Best Use of Materials」2点。

係りのお姉さんが、我々のブースに来て、ブループリントアオードがどうだの言っている。
ブループリントの意味も、アオードが行われているとも、ましてや、自分の作品がノミネートされたことも聞いていないから、何がどうなっているのか暫く理解できずにいた。

早く席につけと促がされたが、ちょっと待ってくれ、ワイフを呼んでくるといい、ブースにいるスタッフを連れに行った。
「何だか受賞らしい。ワインも出てる」というボク(何故か片仮名)に、「うっそー、やったー、賞金も?」と、現実一路で、発言を促がされたらどうしようと焦る私を尻目に喜び炸裂なのだ。

発言の必要も、賞金もなかった。Blueprint誌最新号に載ってはいるが。

会場風景どういう訳か、現地でノートが動かなくなった。
ハードディスクにアクセスしない。
わざわざ、古くて重いノートを持っていった意味が無い。
だから、リアルタイムでアップしようと思ったブログ記事は、思い返しながら日本の田舎で書くことになった。
悔しいことに、日本で電源を入れるとノートは正常に作動した。
捨ててこなくてよかった(これはジョーク)。

椅子をメインの仕事にしようと思った。ラオスから帰ったときだ。
グリーンウッドワーキングの椅子をベースに置いた。

プロのデザイナーが才能を競うコンテンポラリーな椅子世界とは、今更私の才能では太刀打ちできないだろうということ。

グリーンウッドワーキングの手法は、工房での制作に良く馴染む。
永い時間、多くの匿名の職人達が個々の解釈を加えながら作り続けてきた伝統の椅子には、飽きの来ない良さが不動のものとしてあることを信じる。
その連続した軌跡に自分の解釈を加えたいということ。

私なりの成果を、グリーンウッドワーキングの本場で披露したいと思っていた。
そんな折、「100% Design Exhibition London 2010」の出展募集が行われていることを知った。

現在、フォークチェアと認識されている椅子には3種類ある。
ウィンザーチェア、スラットバックチェア(ポスト&ランチェア(Post-and-rung Chair)、ラダーバックチェア(Ladder-back Chair)ともいう)、それにツーボードチェア(Fiddle-back Chairともいう。日本ではペザントチェアと呼ばれる場合が多い)である。

このうち、グリーンウッドワーキングの椅子は、ウィンザーチェア、スラットバックチェアの二種類。
日本では馴染みの薄いスラットバックチェアだが、ヨーロッパでは古い木版画にも登場し、トータル製造数世界最多といわれる。

画像は、開催直前のブース。我々の100%Futureゾーンは白に統一されているので、製品が映える。
前日夕刻には貼り終えていなかったフロアのカーペットも、当日開場までに全てしかれた。

画像奥の伝統的ウィンザーは、英国の伝統に習い、クリノリン-ストレチャーを使用しているものを選んで持っていった。
材質は欅。英名が分からないので、何となく似ているからジャパニーズエルムだと、適当なことを言っていたが、現地のウッドワーカーからも、まさしくエルムだと納得される。

会場外観今年の「100% Design Exhibition London」に出展することにした。
このイベントは、英国では最大規模のデザインエキシビションで、20年以上の歴史を持ち、世界から多くの企業、個人の参加がある。

知らなかったのだが、出展するためには、製品写真、製品説明、ブースデザインプラン、企業プロフィールを送り、事前審査を受けなければならない。
手続きは全て100% Design London のHP経由で行なう。

展示スペースは6㎡。展示は全て椅子を予定。
5~6脚は置けるスペースである。輸送コストを考えると適当なサイズだ。

出展許可の連絡が来たのだが、我がスタッフは、アイスランドの噴火もあったし、参加者が少ないんじゃないのと言う。
そうかもしれないと思っていたが、「100% Design Exhibition」は、ロンドン、香港、東京があり、ロンドンは厳しいと聞いた。

そんなことで、この夏は出品に関する手続きで忙殺された。
制作エネルギーよりも、輸送に関する打ち合わせ、やり取りが大変だった。
オフィシャル輸送業者の、日本ブランチの見積価格は法外だったから、全て自分で手続きを行なったためだ。
輸出手続、木箱材料の植物検疫問題、往路業者選定、港から会場輸送、会場からブース搬送、木箱保管、木箱の再デリバリー、復路業者選定、復路航路選定&見積等々等々。

木箱が安心という。そう思う。当初は地元の杉を使えばいいと思っていた。
所が、英国は植物検疫が厳しいという。専門業者が、熱処理(殺虫処理)した、木材を使わなくてはならない。業者へ見積りを頼むが、これがまた法外(?)に高い。
その時、ベニアが使えるのではないかと思った。もし使えるなら自分で梱包ができる。

検疫所に問い合わせると、ユーロレギュレーションではOKとなっているが、国で違いがある場合があるので、問い合わせた方がいいという。
英国の輸送業者に問い合わせると、英国もユーロレギュレーションに従っているという返事。
梱包材料と梱包の問題が解決し、無事に発送は完了した。

だが、出発の直前まで復路の選定を行なっていた。
往路は、博多発だと、アジアの他の港に寄港するため、時間がかかるので早く発送しなければならない事、寄港時にコンテナの詰め替えがあり、荷物が傷む心配があるが、神戸発だとロンドン直送便があり、時間が稼げる。そのため神戸を選んだ。
復路は、近場の港の方が、仮に時間が掛かっても通関や引き取りが楽である。しかし、英国のオフィシャル輸送業者は、大阪しか航路を持たないという。
再度、博多配送の是非を問い合わせていたのだが、直前になってようやく博多港配送OKと、その見積りがきたのだ。

梱包到着エキシビション用に輸出する場合、通常非課税扱いである。そのため、売ることは出来ず、全て持って帰らなくてはならない。
(売って売れない事はないが、通関書類の書き直しが必要になってくる)

2つの木箱は無事に通関し、会場に運ばれてくるのか?自信は無く心配だったが、木箱は無事、会場に届いていた。
ブースのセッティングは明日行う事にした。これからが本番。
しかし、我がスタッフは、すでに英国観光、パブ攻めモード突入済み。

画像上は、アールズコート エキシビションセンター(ホール2)。下は、我々のブースに無事届けられていたパッケージ。100%ヘッダー

お知らせ

2009/03/29

ニュープロダクトをStandard Chairにてアップロード致しました。是非御覧下さい。
ダブルボウ ウィンザーチェア、ウィンザータイプ サイドチェアー、ラウンドトップ コーヒーテーブル等です。

今回出展しているほとんどの椅子のデザインは、英国が発祥である「ダブルボウ ウィンザーチェアー」をベースにしています。

ラテンスラットバックチェアー(中世から作られてきたシェーカーの椅子の原型、累計生産台数最多といわれている)や、ウィンザーチェアーは、グリーンウッドワーキング(生木を用いた木工)といわれる、独特のテクニックを用いて作られてきた椅子です。
これらの椅子は、工法的にもデザイン的にも、いえ、それらが分かち難く一体となった構造を持ち、歴史が育んできたスタンダードチェアーといえるものです。
それは、最小の部材で構成されているにも関らず、極めて合理的な構造を持ち、強固なアイデンティティを有しています。

スタンダードな椅子を標榜しながら、椅子制作から遠のいていた私が帰る椅子は、グリーンウッドワーキングのテクニックによって成立した伝統的スタンダードチェアーである、「ウィンザーチェアー」や「スラットバックチェアー」でしかなかったのです―
(会場用の説明から)

補足説明:先日終了した個展(椅子展)の説明から引用しました(今は、自分の実力の無さを改めて自覚しています)。